ライバルはベントレー! ロールス・ロイスを目指したアルピナが送る「B7」の極上フィールとは

超高級プレステージカーとしての資質は十分なアルピナ「B7」

 筆者にとっては今回が初対面となったBMWアルピナB7は、ドアハンドルに手をかけただけでも、またエンジンを始動するために、ブレーキペダルにつま先を置いただけでも、同じ日に試乗したB5よりも明らかに高級な感触が伝わってきた。

 それは、ベースとなる5シリーズと7シリーズの違いがそのまま反映されているのだろうが、手や足が触れる操作系のすべてが柔らかくて重厚。このタッチひとつをとっても、B7が真のラグジュアリーカーであることを実感できる。

●“アルピナマジック”はプレステージセダンでも健在か?

アルピナのフラッグシップ「B7」
アルピナのフラッグシップ「B7」

 この日の試乗会は、軽井沢周辺が舞台。そこで上信越道の碓氷軽井沢ICから松井田妙義ICまでの一区間のみ、あたかも王様のごとくゆったりとクルーズしたのち、復路は一般道で戻るというルートを選んだ。

 メーカー公表値によると、B7のホイールベースは3210mmで、全長5270mm/全幅1900mm。そして車両重量は2210kgに及び、ベントレー・フライングスパーよりは少々小ぶりとはいえ「巨体」という言葉がふさわしい堂々たる体躯を誇る。これだけの豊満な体躯のクルマをワインディングで走らせるなら、通常は碓氷バイパスを選ぶのがセオリーであろう。

 でも今回はちょっと意地の悪い好奇心を満たすために、コーナーの曲率が小さく、ヘアピンカーブも続き、もちろん道幅も狭くて路面もバンピー、つまりプレステージサルーンを走らせるには、おおよそ好適とはいえない碓氷峠の従来の国道を試乗ルートに選ぶことにした。

 あいにく深い霧と雨に見舞われた碓氷峠ながら、B7は実に気持ちよくツイスティなカーブをこなしてゆく。この身のこなしの軽さは、明らかにスポーツセダンのものである。しかも、全長5m以下のミドル級セダンのように小さく感じさせる一方で、乗り心地の良さはこのクラスのプレステージカーそのものである。

V型8気筒DOHCターボは、608psを発揮。0−100km/h加速は3.6秒だ
V型8気筒DOHCターボは、608psを発揮。0−100km/h加速は3.6秒だ

 B7は、7シリーズのフラッグシップであるBMW「M760iL」のV12ツインターボではなく、あえて自社チューンのV8ツインターボを搭載したとのこと。この選択が、ハンドリングにも大きな影響を与えているようだ。加えて、脳髄がとろけてしまいそうになるくらいに「スウィート」なV8サウンドを、まるで控えめなスキャットのように聴かせるエンジンも相まって、高級感にふさわしい立ち振る舞いを保ちつつも、積極的に「楽しい」といえるレベルにある。

 こうして楽しく走らせているうちに脳裏をよぎったのは、このクルマが4輪駆動であり、4輪操舵でもあること。いずれも極めてナチュラルに作動するため、前輪にも駆動がかかっていること、あるいは後輪が操舵していることは、ほとんど意識の外にある。

 正直に告白してしまうと、今回の試乗会の拠点に戻った際に「いまさら聞きづらいんだけど、このクルマって4駆と後輪操舵だったっけ?」などと広報担当者に思わず確認してしまったほどにナチュラルなのだが、雨に濡れた落ち葉や小枝が路面のそこら中に落ちているという最悪のコンディションでも、まったく不安を感じさせないだけのスタビリティがある。

 これもまた、アルピナマジックのなせる技と感服させられてしまったのだ

 今や遠縁ながら身内となったロールス・ロイスの「ゴースト」とは、キャラ的に大きくかけ離れているゆえに直接比較するのは難しい一方で、同じくスポーティさを前面に押し立てるベントレー「フライングスパー」に対しては、特にインテリアの「設え」などを除けば、高級車としての資質は限りなく近いレベルにあると感じられた。

 しかも、「アルピナマジック」に代表されるBMWアルピナ独自の世界観が、ショーファードリブンにも好適な巨大なプレステージカーにおいても、あたかも矜持のごとく大切に守られている。そんな姿勢や哲学が垣間見られることにも、深い感銘を受けてしまった。

 長らく培ってきたフィロソフィを遵守することも、超高級プレステージカーの世界では大切な要素なのである。

●BMW ALPINA B7 Long Allrad
ビー・エム・ダブリュー・アルピナ B7 ロング・オールラッド
・車両価格(消費税込):2597万円
・全長:5270mm
・全幅:1900mm
・全高:1520mm
・ホイールベース:3210mm
・車両重量:2210kg
・エンジン形式:V型8気筒DOHCターボ
・排気量:4394cc
・エンジン配置:フロント縦置き
・駆動方式:4輪駆動
・変速機:8速AT
・最高出力:608ps/5500−6500rpm
・最大トルク:800Nm/2000−5000rpm
・0-100km/h:3.6秒
・巡航最高速度:330km/h
・ラゲッジ容量:515L
・燃料タンク容量:78L
・タイヤ:(前)255/40ZR20、(後)295/35ZR20
・ホイール:(前)8.5Jx20、(後)10Jx20

【画像】アルピナ流超高級プレステージの世界へようこそ(19枚)

「えっ!カッコいい!」 マツダの「スゴいSUV」登場! どこが良いの?

画像ギャラリー

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー