救急車は1000万円超の高級車!? 「船みたいで酔いそう…」乗り心地がイマイチな訳とは
体調不良のときは厳しい… 救急車の乗り心地は?
専門的な架装が施された救急車ですが、病気やケガで搬送されるときの「乗り心地」はどうなのでしょうか。
実際には後部の傷病者室(患者室)に乗ることになりますが、滅多に乗れるものではないだけに興味のあるところです。

急性の十二指腸潰瘍で救急車にお世話になったAさん(40代・男性)に、救急車の乗り心地がどうだったか聞いてみました。
「まず苦しいなかでも感じたのは、とにかく足回りが柔らかく、路面のデコボコに合わせてブワンブワンと揺れて船のような乗り心地だったことを記憶しています」
トヨタも日産もサスペンションは救急車専用にセッティングを施しているということですが、車内で応急処置をおこなうこともあり、硬めの足回りではないようです。
トヨタは3110mm、日産は2940mmと長いホイールベースで、車重は装備を含めで約3tというかなりの重量級。その性質上すぐに揺れを収めるのは難しいのかもしれません。
「救急車内は温度管理や湿度管理もバッチリでした。またこのご時世だからではないでしょうが、プラズマクラスター搭載の空気清浄機も完備されていました」(Aさん)
さすが動く治療室だけあり、車内の空調は完璧のようです。とくに新型コロナの感染防止対策には力が入っているようで、消毒用アルコールで拭き取りができる防水シートの採用、ストレッチャーにかんたんに装着できる換気機能付きカプセルなども用意されているそうです。
またトヨタ救急車では、スイッチひとつで曇りガラスにできる「QQスクリーン」なども搭載しています。
「患者室は右側にストレッチャー、中央が通路、左側に縦向きにベンチシートが備えられていました。ただ、窓が全面カーテンで覆われていたので外の景色は一切見えず、船のような乗り心地もあってクルマ酔いしてしまいました」(Aさん)
カーテンや曇りガラスなどで視覚的に外の情報を遮断されてしまうと、乗り物酔いしやすくなってしまう人もいるようですが、プライバシー保護の観点から内側を見えないようにするのは仕方がないといえます。
重量のあるロングホイールベース車なだけに、船やバスに近い乗り心地とのようですが、長時間乗り続けるわけではなく、患者を救急搬送するための専用車両ならではの仕様が盛り込まれていることがわかりました。
ちなみに119番に通報した緊急搬送の場合は、国籍や納税の有無に関わらず無料で利用できます。
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救急車はベース車両がモデルチェンジしてもすぐには製造されず、一部改良が施される1年から1年半後に採用されることが多いようです。
フルモデルチェンジ後はクルマの品質が安定しない場合があり、人命を預かる救急車は絶対に止まってはいけないことから、高い信頼性を確保するためだといわれています。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。














