人気絶好調のホンダ新型「ヴェゼル」は世界レベル!? 輸入コンパクトSUVと比べてみた

そんな新型ヴェゼルのライバルは欧州BセグメントSUV

 欧州目線でいえば、新型ヴェゼルの第一のライバルとなるのがルノー「キャプチャー」だ。

2021年2月4日に発表、2月25日に発売されたルノー新型「キャプチャー」の走り
2021年2月4日に発表、2月25日に発売されたルノー新型「キャプチャー」の走り

 先代となる初代キャプチャーが誕生したのは2013年。つまり、ヴェゼルと同じタイミングで生まれ、ヴェゼルとともに、Bセグメント・コンパクトSUVのムーブメント醸成に貢献した1台なのだ。

 日本での販売実績は振るわなかったが、世界市場では170万台以上が販売されており、2020年に新型がデビューした欧州では同年のSUV販売ナンバー1を獲得。欧州で非常に高い人気を誇っているのだ。

 日本でも2021年2月に登場した新型キャプチャーの特徴は、フレンチデザインとでもいうべき、エレガントさと躍動感に富んだルックスにある。プラットフォームはルノー・日産・三菱のアライアンスで開発された新しいCMF-Bを採用する。

 寸法は全長4230mm×全幅1795mm×全高1590mm。先代よりも大きくなったが、それでもヴェゼルと比べると全長が100mmほど短い。

 パワートレインは、エンジン車のみで、最高出力154ps・最大トルク270Nmの1.3リッター直列4気筒ガソリンターボエンジンに7EDC(7速DCT)を組み合わせる。こちらのトランスミッションはトルクコンバーター式ではなく湿式のデュアルクラッチ方式。ダイレクトでキレのよい走りが身上だ。燃費性能は17.0km/L(WLTCモード)。駆動方式はFFのみとなる。

 運転支援システムは、カメラとレーダーを組み合わせた方式で、衝突被害軽減自動ブレーキを筆頭にACCなど、日本車と遜色ない機能が備わっている。価格は299万円から319万円だ。

 ヴェゼルとキャプチャーの最大の違いとなるのが、ハイブリッドと4WDの有無だ。キャプチャーにはその両方がない。一方、DCTと組み合わされるエンジンのパワフルさは、キャプチャーが勝る。キビキビと走りたいという人であれば、キャプチャーを試す価値は十分にあるだろう。

 同じフランス車のBセグメントのコンパクトSUVとなるのがプジョー「2008」だ。

2020年9月16日に発売されたプジョー新型「2008」の走り
2020年9月16日に発売されたプジョー新型「2008」の走り

 プジョーの主力モデルであるBセグメント・コンパクトハッチバック車である「208」のSUVバージョンとして、やはりヴェゼルと同じ2013年に初代モデルが誕生している。そして2020年に第2世代が誕生。日本でも同年9月より発売が開始された。

 新型2008の特徴は、プジョーの言うところの「ザ・パワー・オブ・チョイス」戦略が採用されていることだ。これはユーザーの希望で、動力源を選べることを意味する。

 そのため新型2008は、エンジン車と同時にEV版の「e-2008」も発売された。しかも、ルックスはエンジン車もEVもほとんど同じ。動力源だけ違うというわけだ。

 エンジン車は、最高出力130ps・最大トルク230Nmの1.2リッター直列3気筒ガソリンターボエンジンを搭載。8速ATとの組み合わせで、WLTCモードで17.1km/Lの燃費性能となる。駆動方式はFFのみ。

 車両寸法は全長4305mm×全幅1770mm×全高1550mm。キャプチャーよりは大きいが、ヴェゼルには届かないという大きさだ。エンジン車の価格は299万円から338万円となる。

 一方、EVのe-2008は最高出力136ps・最大トルク260Nmのモーターと、50kWhのリチウムイオン電池を搭載。航続距離は385km(JC08モード)。チャデモ方式の急速充電に対応する。価格は431万円からだ。

 ちなみに2008も、キャプチャーと同様にデザインの良さも魅力となる。ネコ科の猛獣の牙を彷彿とさせるデイタイムランニングライトの意匠や、3D表示となった3D iコックピットといったインテリアデザインの良さは、プジョーの伝統ともいえる。また、猫足とでも呼べるようなしなやかな走りも復活、プジョー伝統の魅力となっている。

 新型ヴェゼルと比較すると、2008もキャプチャー同様に4WDとハイブリッドがない。ただし、こちらはEVを用意する。もしも、日本でコンパクトSUVのEVが欲しいとなれば、今のところe-2008、そして兄弟車の「DS3クロスバック E-テンス」が唯一の選択肢となる。EVのライバル不在という点は重要だ。

 最後は、ドイツ勢代表のフォルクスワーゲン「T-Roc」だ。

2020年7月15日に発表、発売されたVW「T-Roc」
2020年7月15日に発表、発売されたVW「T-Roc」

 こちらのモデルの日本発売は2020年7月。ちなみに、その半年前となる1月には、「フォルクスワーゲンの最小SUV」となる「T-Cross」も発売されている。

 ただし、T-Crossは全長4115mmで、全長4240mmのT-Rocの弟格となる。全長4330mmのヴェゼルと比較するのであれば、全長4240mm×全幅1825mm×全高1590mmのT-Rocがサイズ的に妥当だろう。

 T-Rocの特徴は流麗なクーペフォルムのSUVであり、フォルクスワーゲンのSUVとして初の2トーンのボディカラーが採用されていることだ。スタイリッシュなデザインが売りなのだ。

 また、最高出力150ps・最大トルク340Nmを発生する2.0TDI(2リッター直列4気筒ディーゼルターボ)エンジンと7速DSG(DCT)を組み合わせたパワートレインも魅力となる。燃費性能は18.6km/L(WLTCモード)。

 燃費性能に優れるだけでなく、そもそも燃料の軽油はガソリンよりも安い。トルクフルで、しかも経済性に優れるディーゼルエンジンの魅力は、やはり否定できない。

 欧州ではEVシフトを喧伝するフォルクスワーゲンだが、リアルなビジネスとしてディーゼルエンジンを捨てないのは、したたかであり、そして賢明だ。このディーゼルエンジンの存在こそが、T-Rocの最大の魅力ではないだろうか。

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