スズキが国内販売2位に躍進! ホンダや日産とは異なる小型車戦略が勝因だった!?
軽に注力するホンダ・日産と小型車に力を入れるスズキ
なぜスズキは軽自動車ではなく、小型車に力を入れたのでしょうか。一番の理由は軽自動車市場の将来に不安を感じたからです。
軽自動車はもともと薄利多売の商品ですが、近年ではホンダや日産も本格的に力を入れています。
とくに2010年以降は、国内で売られる新車の35%前後が軽自動車になりました。2014年にはスズキとダイハツの軽自動車販売合戦が激化した影響で、軽自動車比率が40%へと上昇。2015年には軽自動車税が増税され、軽自動車市場への不安はさらに強まっています。
このような事情から、スズキは2015年に発表した中期経営計画「SUZUKI NEXT 100」において、小型/普通車の国内年間販売台数が10万台以上、軽自動車のシェアは30%以上という目標を掲げました。
海外からの輸入車も含めて小型/普通車を充実させて販売に力を入れた結果、2016年には10万台を販売する目標を早々に達成。そのうえで軽自動車市場におけるシェアも30%を守っています。
いまのホンダの国内新車販売における軽自動車比率は安定的に50%を上まわっており、日産も40%以上を占めています。このふたつのメーカーが軽自動車に力を入れて、なおかつ国内の販売総数を減らしていくなかで、軽自動車が中心のスズキは小型/普通車を伸ばして販売総数も押し上げました。
軽自動車についても、スズキ「スペーシア」はホンダ「N-BOX」に次いで軽自動車の販売2位です。スズキ「ハスラー」は2020年1月に新型の販売を開始して、2020年度は前年度に比べて1.4倍売れました。
スズキ「ジムニー」はいまでも納期が1年と長いのですが、4万4824台を登録して国内販売を支える柱になっているなど、軽自動車を着実に売りながら小型/普通車に力を入れたことで、優れた相乗効果を発揮したというわけです。
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クルマは1台当たりの単価が高いから、企業規模の割に車種数が少ないです。そのなかで売れ行きが特定の車種に偏ると、人気車が不調になれば販売総数を一気に下げてしまいます。例えば日産の国内販売は、わずか約5年の間に2位から5位まで下がりました。
安定を保つには、各車種を偏りなく堅調に売ることが大切です。スズキが国内2位になった背景にも、著しい不人気車を生み出さず、バランス良く販売してきたことが挙げられます。
結局のところ、自社の商品に対する愛情が成功の秘訣なのでしょう。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
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