シリーズ最後のFRは大ヒットを記録! 「技術の日産」を具現化した「910型ブルーバード」とは?

シリーズ初のターボエンジンを搭載し、最後のFRモデルとなった910型

 910型ブルーバードは、エントリーモデルのサニーと上級車種との隙間を埋めることに再び特化し、全グレードとも4気筒エンジンに回帰。バランスの良いボディスタイルの4ドアセダン/2ドアハードトップとなりました。

 発売から1か月後にはバン/ステーションワゴンも登場し、モデル途中の1982年には当時の「セドリック」「グロリア」「ローレル」で人気だったセンターピラーレスの4ドアハードトップも追加。

走行性能もFRモデルの集大成というべき「910型 ブルーバード」
走行性能もFRモデルの集大成というべき「910型 ブルーバード」

 もっともスポーティな910型の2ドアハードトップは、全長4510mm×全幅1655mm×全高1370mmのボディサイズで、機能的でありながらスタイリッシュなデザインと評価されます。

 エンジンはそれまで日産の主力4気筒エンジンだった「L型」から「Z型」への置き換えが始まった時期でもあり、トップグレードの「2000SSS-ES」には、電子制御燃料噴射と急速燃焼方式(ツインスパークプラグ)を採用した2リッター直列4気筒SOHC「Z20E型」エンジンが搭載されました。

 さらに、登場してわずか4か月後の1980年3月には、最高出力135馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒SOHCターボエンジン「Z18ET型」を搭載した「1800ターボSSS」シリーズが追加され、高性能化が加速。

 コロナのトップグレードである「2000GT」の2リッター4気筒DOHC「18R-GEU型」エンジンと比べ、最高出力は同じながら最大トルクでは大きく上回り、動力性能の点でも910型はアドバンテージを築きました。

 駆動方式はFRの2WDのみでサスペンションも磨き抜かれ、フロントはストラット式でリアにはセミトレーリングアームとし、ステアリング操作が軽く走行時に操舵に影響する力が働かない理想的な設定である、国産FR車では初となる「スクラブ値=0(ゼロ)」のハイキャスターにセッティングを採用。

 4輪独立懸架の910型 ブルーバードは4リンクリジッドサスペンションのコロナに運動性能でも上まわり、操縦安定性と乗り心地を両立した先進的な設計が、クルマ好きを自認するオーナーたちから絶賛されました。

 ハードウェアで6代目コロナに圧倒的な差をつけた910型 ブルーバードは高く評価され、小型車クラスの新車登録台数で27か月連続第1位を記録するほどの大ヒットを記録し、コロナに勝利します。

 そして、時代の流れから1983年には駆動方式がFFとなった、7代目U11型 ブルーバードへバトンタッチされました。

※ ※ ※

 910型 ブルーバードはエンジンの高性能化とともに、足まわりにも高い技術力が投入されたFRモデルとしての集大成といえます。

 前述のとおり大ヒットを記録しましたが、実際に当時のセールス担当は、ひと目見て売れると確信したといいます。

 その後はブルーバードもさらなる高性能化を果たすことになりますが、最後のFRという記念すべきモデルの910型は、今も数多くの愛好家に支持されているモデルです。

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