発売約1年でもトヨタ「ハリアー」が超人気! 高級SUVヒットの理由とは?

現在のヒットにつながる下地はすでに出来上がっていた!?

 さりげなく採用する先進機能も、ユーザーには「先進性」として好影響を与えていると考えられます。

 新型ハリアーには前後のカメラが捉えた映像をSDカードに録画するドライブレコーダーと同様の機能をトヨタ車として初採用。

 また、一瞬にして透明ガラスと曇りガラスを切り替えできる「調光パノラマルーフ」もトヨタ車初採用の先進装備で、「ハリアーは特別なクルマだ」と感じさせます。

トヨタ「ハリアー」(4代目)
トヨタ「ハリアー」(4代目)

 さらにいえるのは「ハリアー」という安心感も人気の秘訣でしょう。

 定番商品が強いというのがクルマに限らず多くのジャンルで共通することですが、初代ハリアーは現在につながるSUVブームが始まる前の1997年に登場しました。

 当時はまだSUVといえば悪路走行を前提として頑丈なメカニズムを組み合わせるモデルが当たり前のなか、FF乗用のプラットフォームに豪華なインテリアをコーディネートするという独自のコンセプトが斬新だったのです。

 それに対して当初は「SUVなのに邪道」という声もあったものの、市場からは歓迎され、いまに続くラグジュアリーSUVブームの礎を築いたといえます。

 その独自の方向性もあってハリアーは人気モデルとなり、先代に当たる3代目では多くのユーザーの手に渡りました。

「買って失敗のないクルマ」という評価を多く得たことで、新型デビュー時にはヒットする下地が出来上がっていたのです。

 そして新型も期待を裏切らなかったことで、人気モデルへと上り詰めたといえるでしょう。

 こうしてハリアー人気の理由を探ると、それは一朝一夕で実現したものではないことが理解できます。

 乗用車ベースのラグジュアリーSUVというジャンルを世界に先駆けて提案し、そこから20年以上にわたってブレずにブランドを育ててきたこと。そしてハリアーに対する市場の期待を裏切ることのない新型を開発したこと。

 その両輪のバランスが現在の人気を実現したといえ、どちらかが欠けても現在のような爆発的なヒットにはならなかったといえそうです。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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