MT車いよいよ絶滅危機? 迫る自動ブレーキ義務化 脱炭素で待ったなし!

「脱炭素」でMT車は消えるのか?

 実は、スバルのようにMTに衝突被害軽減ブレーキを設定しないメーカーのほうが少数派で例外的なのです。その理由に関してスバルは「衝突被害軽減ブレーキ機能を組み込むことはできるが、『アイサイト』としてスバルが求める理想を実現するのは難しい」といいます。

スバル新型「WRX」のコンセプトカー「ヴィジヴ パーフォーマンスコンセプト」
スバル新型「WRX」のコンセプトカー「ヴィジヴ パーフォーマンスコンセプト」

 MTモデルは衝突被害軽減ブレーキが強く作動した際にエンストする可能性があり、それを危惧しているようです。

 しかし、同社は次期「WRX」が控えており、それにはMTモデルも用意されるでしょう。デビューは2021年11月以降なので、MTモデルにもアイサイトが組み込まれるはずです。

 また、継続生産車にも義務化される2025年末までには、86/BRZのMTモデルにも標準で組み込まれることになるでしょう。

 というわけで衝突被害軽減ブレーキが義務化されても、それによってMT車が絶滅するということはありません。

 しかしながら、別の理由によってMTは消える運命かもしれません。それは脱炭素社会です。

 脱炭素社会とは、地球温暖化を止めるために二酸化炭素を減らそうという考え方(そもそも地球温暖化の主な原因が二酸化炭素にあると確定されているわけではありませんが)。二酸化炭素を減らすにはすなわち燃費を向上する、もしくはエンジンを搭載しないクルマとすることが求められます。

 エンジン車で燃費を向上させるためには、モーターを組み込んでハイブリッド化することが必須となり、ATやCVTと違って変速を車両側が制御できないMTと組み合わせるのはアンマッチといえます。今後もメーカー内の平均燃費の向上が求められ(欧州では基準をクリアできないと罰金を払う制度が始まっている)、その流れでMTはどんどん減っていくことでしょう。

 こうした状況から近い将来、新車でMTが選べなくなる日がやってくるのはほぼ確実です。

 今後登場するスポーツカーでは86/BRZのほか、日産の次期「フェアレディZ」にもMTの設定がアナウンスされています。

 いずれにせよMT愛好家は、長く所有するつもりで今のうちにMT車を買って楽しむのがよいかもしれません。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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1件のコメント

  1. EVが増えると、レアメタル採掘しまくって原発を沢山作らないと供給が間に合いません。
    現状、欧州の原発の産業廃棄物の処理に困っているのに、これ以上原発増やしてどうするつもりなんでしょうね。

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