300馬力にパワーアップ! ニュルFF最速のDNAを持つルノー「メガーヌR.S.」の走りの進化とは
2021年1月にマイナーチェンジ、搭載する1.8リッター直噴ターボエンジンがトロフィーと同じ300馬力にパワーアップしたルノー「メガーヌ ルノー・スポール(R.S.)」。その走りはどう進化したのか。モータージャーナリスト岡本幸一郎氏がレポートする。
6速EDC(DCT)も洗練されスムーズなシフトチェンジを実現
ルノーの中核を担うCセグメントの量販モデルである「メガーヌ」をベースに、F1を頂点とするルノーのモータースポーツ活動を担うルノー・スポールの市販車部門がチューニングを手がけたスペシャルモデルが「メガーヌR.S.」だ。
2008年からは量産FF車として独ニュルブルクリンク最速の座をかけて、これまで幾度となくタイムアタックをおこない、日本の雄であるホンダ「シビックタイプR」、そしてドイツの代表的ホットハッチVW「ゴルフGTI」らとしのぎを削ってきた。
本稿掲載時点では、その宿命のライバルを上回る7分40秒1というタイムを達成しているのが、「メガーヌR.S.トロフィー」をベースに130kgも軽量化された「メガーヌR.S.トロフィーR」になる。
そのメガーヌR.S.が2021年1月にマイナーチェンジを実施した。
最大のポイントは、搭載される1.8リッター直噴ターボエンジンの最高出力が300psになったこと。これは走りに特化したメガーヌR.S.トロフィーと同じエンジンが搭載されたおかげだ。ちなみに最大トルクも420Nmと強力だ。
内外装や装備も改良された。エクステリアではロゴや灯火類のデザインが変わったほか、リアにシーケンシャルウインカーを採用した点がポイントになる。
インテリアでは上質なステアリングや、使いやすいダイヤル式のエアコンコントローラーを採用、また後席用にUSBポートをふたつ設定している。さらには先進運転支援装備もACCなどの機能を充実させるなど、多岐にわたり進化しているのが特徴だ。
その他、走りに関する変更は公表されていないが、試乗すると従来モデルに対して改良されている印象を受けた。
メガーヌR.S.の標準版は、「EDC」と呼ぶ6速DCT仕様となり、足まわりには「シャシースポール」という公道での走行を主体にサーキットまでカバーする位置づけのチューニングが施されている。
走り始めてほどなく、もともと悪くなかったEDCの制御が心なしか洗練され、半クラッチやシフトチェンジがスムーズになり、扱いやすくなったように感じられた。
300psのエンジンは、ツインスクロールターボの軸受けに、F1マシンでも使用しているセラミックボールベアリングのおかげか、従来の280ps仕様のエンジンとはレスポンスの鋭さが違う。さらには踏み込んだときの吹け上がり方も、より伸びやかになっているようだ。
ドライブモードを選択できるルノー・マルチセンスには、「スポーツ」、「レース」、「セーブ」の各モードのほかに、さまざま要素を任意に設定できる「マイセンス」があり、細かくカスタマイズが可能。またアクティブバルブにより、排気音もアクセルオフ時にレーシングカーのような音を出すような演出も楽しめるようになった。
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