愛知県は日本一クルマが売れる? 東京・大阪より車社会が形成される背景とは

名古屋は三大都市のなかで鉄道整備が進んでいない!?

 大都市圏を有する関東圏の都県や、関西圏の大阪よりも登録台数や保有台数が突出している愛知県。

 愛知県では、なぜクルマが多く売れるのでしょうか。

 前出の自動車検査登録情報協会は、「正式な調査をしたわけではありませんが、地域ごとの公共交通機関の普及などが影響していると思われます」とコメントしています。

 実際に公共交通機関のデータを調べてみると、愛知県ではクルマが必要とされていることが見えてきました。

 古いデータにはなりますが、国土交通省が「平成24年版都市交通年報」を基にまとめた東京都区内、愛知名古屋市、大阪府大阪市の三大都市の鉄道に関するデータを見ると、愛知県の中心地である名古屋市は 輸送機関がクルマに依存していることが分かります。

 このデータは東京駅から半径50km、名古屋駅から半径40km、大阪駅から半径50kmのエリアにおいて、鉄道の営業距離と輸送人数、そして輸送機関分担率をまとめたものです。

 それぞれの営業距離は、東京エリアが2459km、大阪エリアが1504kmであるのに対して、名古屋エリアは977kmと断トツで短い距離となっています。

 そして輸送人数に占める各輸送機関人数の割合を示した輸送機関分担率も名古屋だけ大きく違う結果となっています。

 東京エリアは鉄道が59.3%でクルマが40.7%、大阪エリアは鉄道が48.7%でクルマが51.3%となっています。

 一方の名古屋エリアは鉄道が21.6%でクルマが78.4%となり、三大都市圏のひとつでありながら名古屋では実に8割近くの人が、移動にクルマを利用しているのです。

 このように愛知県の県庁所在地である名古屋は、人口が多い日本の三大都市圏であるにもかかわらず、ほかの大都市圏と比べて圧倒的にクルマでの移動が多いことが分かります。

車社会となる名古屋には独自の「基幹バスレーン」と呼ばれる道路が存在する(画像:Peacock Blue K.K.)
車社会となる名古屋には独自の「基幹バスレーン」と呼ばれる道路が存在する(画像:Peacock Blue K.K.)

 実際にクルマでの移動において、東京都内では駐車場を探すのに苦労するほか、大通りを外れると狭い路地ということがあります。

 対する名古屋市内は、東京都内と比べると利用できる駐車場も見つけやすく、道路も広々としている傾向です。

 公共交通機関が東京のほうが発達しているというのもありますが、名古屋市内は都市構造がクルマでの移動を考慮していると考えられます。

 このように名古屋の都市構造と大都市圏というふたつの要素が組み合わさっていることなどが、クルマの登録台数や保有台数で愛知県が1位になっている背景のひとつだといえます。

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Writer: 西川昇吾

1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。大学時代から自動車ライターとしての活動をスタートさせる。現在は新車情報のほか、自動車に関するアイテムや文化、新技術や新サービスの記事執筆も手掛ける。また自身でのモータースポーツ活動もしており、その経験を基にした車両評価も行う。

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