ハイパワーエンジン+4WDで無敵! スカイラインGT-R登場以前の高性能4WD車3選

1989年は、日産「R32型 スカイラインGT-R」とスバル「レガシィ RS」という後世に語り継がれる高性能4WD車が登場した記念すべき年です。しかし、この2台が登場する以前、すでに高性能4WD車というジャンルは確立されていました。そこで、ターボエンジンとフルタイム4WDを組み合わせた黎明期のモデルを、3車種ピックアップして紹介します。

黎明期の高性能4WD車を振り返る

 1980年代に国産車はターボエンジンの普及によって高性能化が加速。その頂点に立ったのが1989年に登場した日産「R32型 スカイラインGT-R」やスバル「レガシィ RS」で、高出力なターボエンジンに4WDシステムを組み合わせたことから、さまざまな路面で高い走行性能を発揮することを証明しました。

まだ荒削りな仕上がりだった頃の高性能4WD車たち
まだ荒削りな仕上がりだった頃の高性能4WD車たち

 しかし、この2台が登場するよりも前、すでに高性能4WD車というジャンルは確立され、性能を競い合っていました。

 そこで、ターボエンジンとフルタイム4WDを組み合わせた黎明期のモデルを、3車種ピックアップして紹介します。

●マツダ「ファミリア GT-X」

国産初のフルタイム4WD車で高性能モデルの「ファミリア GT-X」
国産初のフルタイム4WD車で高性能モデルの「ファミリア GT-X」

 高性能4WD車を語るうえで忘れてはいけないのがマツダ「ファミリア GT-X」で、日本初となるフルタイム4WD車という歴史的なモデルです。

 車名からわかるとおりマツダの大衆車として誕生したファミリアは、かつては同社の主力車種として代を重ねていきました。

 そして、1985年に発売された6代目に、最高出力140馬力を誇る1.6リッター直列4気筒DOHCターボエンジンとフルタイム4WDシステムを搭載したファミリア GT-Xがラインナップ。

 ハイパワーなエンジンとフルタイム4WDの組み合わせによって、動力性能は2リッターターボ車を凌駕すると評されたほど、センセーショナルなデビューを飾りました。

 4WDシステムはプラネタリーギア方式のセンターデフを使った形式で、雪道などとくに滑りやすい路面では室内にあるデフロックスイッチで前後輪の駆動力配分を固定し、高いトラクションが得られる機構を採用。

 また、圧搾空気によって2段階の車高調整機能が装備されるなど、舗装路と悪路での走破性を両立し、ラリーでも活躍しました。

 GT-Xの登場によってファミリアは5代目の都会的なクルマというイメージから、高性能モデルへと大きく生まれ変わったといえます。

●トヨタ「セリカ GT-FOUR」

高性能なだけでなく高級なモデルとしても高い人気を誇った「セリカ GT-FOUR」
高性能なだけでなく高級なモデルとしても高い人気を誇った「セリカ GT-FOUR」

 1970年に誕生したトヨタ初代「セリカ」は、普及拡大を目指した量産スペシャリティカーとしてデビュー。高性能なDOHCエンジンを身近な存在にした立役者でもあります。

 その後代を重ね、1985年に登場した4代目は当時のトレンドを取り入れて駆動方式をFFとするなど大きな転換期となったモデルです。

 フロントフェイスはリトラクタブルヘッドライトを採用し、ボディは3ドアハッチバッククーペのみで、角を削り取ったようなボディラインはトヨタ自身が「流面形」と表現したほど流麗なフォルムを実現。

 そして1986年には、最高出力185馬力を発揮する2リッター直列4気筒DOHCターボエンジンと、センターデフ式フルタイム4WDシステムを搭載した「セリカ GT-FOUR」が追加ラインナップされました。

 足まわりは専用チューニングの4輪ストラットを採用し、ブレーキも4輪ディスクが奢られ、パワーに見合うようにシャシ性能も向上しています。

 セリカ GT-FOURは1988年にTTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)から世界ラリー選手権に参戦。1990年には最強だったランチア「デルタ」を破り、カルロス・サインツ選手が日本車初のドライバーズタイトルを獲得し、基本性能の高さを証明しました。

 ラリーで活躍したセリカはハイパワーなフルタイム4WD車というイメージが定着し、5代目と6代目にも同様なコンセプトのGT-FOURがラインナップされましたが、最終モデルとなった7代目では全グレードとも自然吸気エンジンを搭載するFF車へとコンセプトを変え、歴史に幕を閉じました。

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