ドレスアップか性能アップか? 昭和のエアロパーツ車5選

レーシングカーがより速く走るために開発された「空力付加物」、いわゆるエアロパーツは、1970年代の初頭に公道を走るクルマにも普及が始まりました。しかし、日本では一旦消滅し、1980年代に復活。そこで、昭和の時代に進化した国産エアロパーツ車を、5車種ピックアップして紹介します。

普及が始まった頃のエアロパーツを振り返る

 見るからに速そうな高性能車の外装には、エアロパーツが装着されています。一般的にはフロントスポイラーやスポイラー形状のバンパー、サイドステップ、リアスポイラーやリアウイングなどが代表的な存在です。

 こうしたエアロパーツはレーシングカーがより速く走るために開発され、国産車でも1970年代の始めには普及が始まりました。

1970年代から1980年代にかけて進化を続けたエアロパーツ車たち
1970年代から1980年代にかけて進化を続けたエアロパーツ車たち

 エアロパーツは文字どおり空気力学に基づいた部品で、空気抵抗を低減したり空気の流れを整え、車体を地面に押し付ける力「ダウンフォース」を高めるなどの作用が期待できるというものです。

 一方で、レーシングカーのイメージに寄せるドレスアップの要素もあり、1970年代初頭の国産車の高性能化に合わせて取り付けるようになったといえます。

 しかし、1970年代中頃には暴走族や交通事故の増加という背景から、エアロパーツの装着は運輸省(現在の国土交通省)が認可しなくなり、一旦は消滅の危機にありました。

 ところが、1980年代になるとエアロパーツが再び認可されるようになり、急速に普及しつつ進化していきました。

 そこで、昭和の時代に繁栄した国産エアロパーツ車を、5車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「TE27型 カローラレビン/スプリンタートレノ」

旧車のなかで今も高い人気を誇っている「TE27型 カローラレビン」
旧車のなかで今も高い人気を誇っている「TE27型 カローラレビン」

 1969年に東名高速道路が全面開通し、国産車も高性能化が始まりました。また、鈴鹿サーキットや富士スピードウェイを舞台に、モータースポーツも盛んになっていきます。

 そうした背景からスポーツモデルに熱い視線が集まり、大衆車にも魅力溢れるスポーツカーを求める声が出始めました。

 そこで、トヨタは1972年3月に初代「カローラレビン/スプリンタートレノ」を発売。「TE27型」という型式から、後に「ニーナナ レビン/トレノ」の愛称で呼ばれました。

 ボディは2代目カローラ/スプリンターのクーペをベースとし、リベット留めのオーバーフェンダーを前後に装着。まさにレーシングカーからのフィードバックです。

 搭載されたエンジンは、トヨタ初代「セリカ」のために開発された、1.6リッター直列4気筒DOHC「2T-G型」と、1.6リッターOHVの「2T-B型」で、OHV車は廉価版として「レビンJ/トレノJ」の名前でしたが、外観はエンブレム以外ほとんど変わらずオーバーフェンダーも装着されていました。

 当時、日産「フェアレディ240ZG」や「スカイラインGT-R」はオーバーフェンダーに加えリアスポイラーも装着されましたが、レビン/トレノのオーバーフェンダーだけでもかなり迫力が増したといえます。

 その後1974年頃から、国産エアロパーツ車は姿を消していきます。

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●ダイハツ「シャレード デ・トマソターボ」

イタリアブランドの逸品をふんだんに搭載した「シャレード デ・トマソターボ」
イタリアブランドの逸品をふんだんに搭載した「シャレード デ・トマソターボ」

 ダイハツは1977年に新世代のFFコンパクトカー、初代「シャレード」を発売。

 1980年代になるとターボエンジンの普及によって国産車の高性能化が加速したことを受け、ダイハツも1981年に開催された東京モーターショーに、イタリアのデ・トマソがチューニングした「シャレード デ・トマソターボ」を参考出品しました。

 この初代ベースのシャレード デ・トマソターボは市販化されませんでしたが、1983年に2代目となったシャレードをベースにしたモデルの発売が決定。

 1984年に登場したシャレード デ・トマソターボは、最高出力80馬力(グロス)を誇る1リッター直列3気筒ターボエンジンを搭載し、600kg台の軽量なボディと相まって、クラスを超えた優れた走りを実現しました。

 外装にはデ・トマソが監修した専用デザインのエアロパーツが装着され、スポイラー形状の前後バンパー、サイドステップ、リアゲートの外周を一周するように装着されたリアスポイラーで構成され、まだ派手さは控えめでしたが、シャレードのホットハッチ化に成功。

 さらにカンパニョーロ製マグネシウムホイールにピレリ製タイヤ、MOMO製ステアリングといった、人気のイタリアブランドのパーツが純正装着されているなど、若い世代のクルマ好きの心を掴みました。

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●日産「オースター ユーロフォルマ」

流行りのホワイトのボディがイチオシだった「オースター ユーロフォルマ」
流行りのホワイトのボディがイチオシだった「オースター ユーロフォルマ」

 国産車の高性能化とともにエアロパーツが解禁されると、当時最先端だったのが、フロントスポイラー、サイドステップ、リアアンダースポイラー、リアスポイラーと、クルマの周囲を一周してエアロパーツが装着されることで、「フルエアロ」と呼ばれました。

 このフルエアロを純正装着するクルマが次々と登場し、日産も1985年に発売された3代目「オースター」で実現。

 オースターは同時期にFF化された「ブルーバード」と主要なコンポーネンツを共有した4ドアセダンで、欧米でも販売された世界戦略車です。

 3代目は直線基調のデザインで、一見するとなんの変哲もないセダンでした。

 しかし、フルエアロが装備された「1.8Siユーロフォルマ」と「1.8Rttユーロフォルマ TWINCAM TURBO」のふたつのモデルは、ヨーロピアンな華麗なボディに変身。

 こうしたフルエアロはアフターマーケットでも人気があり、とくにホワイトのボディカラーに装着するのが流行していたことから、各メーカーともホワイトのカラーリングに力を入れていました。

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