2000万円オーバーは確実! アーマーゲー時代のメルセデス「560SEC」ワイドボディとは
見た目も怖そうなAMGの予想落札価格は?
560SECは、W126型をベースに2ドアクーペ化した、C126型と呼ばれるモデルである。
ネーミングの「560」というのは、このクルマが5.6リッターのV型8気筒──M117型エンジンを搭載していることを表している。
●1989 メルセデス・ベンツ「560SEC AMG 6.0 ワイドボディ」
このV8エンジンは、285psという当時としては大出力を発生するものだった。しかしAMGは、より強力なパワーを求めて、エンジンをボアアップし排気量を6リッターへと拡大した。さらに、手を加えたのはそれだけではない。
AMGはパワーを出すにあたって、高回転化も考えていたという。そこで採用されたのが、シリンダーヘッドの改良である。具体的には、SOHC(シングルオーバーヘッドカム)であった、メルセデスのM117型エンジンを、DOHC(ダブルオーバーヘッドカム)化したのだ。
それによってこの6リッターV8DOHCエンジンは、385psの出力を得るにいたった。
そしてそのパワーを受け止めるために、ホイールを17インチとし、ブレーキディスクを大径化し、キャリパーも対向ピストン式へと換えている。
さらにフロントに235/45R17、リアに265/40R17という、当時としてはワイドで低扁平なタイヤを装着。その上で、トレッドを広げるためにフェンダーをブリスター化したことで、そのスタイリングはベース車である560SECの流麗なものから、押し出しあるインパクトの強いものへと大きく変貌している。
インテリアも当時のAMGの特徴をはっきりと残している。
ブラックレザーでまとめられた室内には、レカロ社製の電動調整式シート「CSE」がセットされ、パネル類はウォールナット仕上げとなっている。
ステアリングは、これも懐かしいAMG独自の4スポークスタイルのものをセット。
1989年10月に製造され、新車としてミュンヘンのオーナーに納車された後、2017年にイギリスへとわたってきたこの個体には、オプションでオートエアコンやシートヒーターも装備されている。
サービス履歴が、直近のものまでしっかりと残っているのも魅力で、オークションベンダーによるスコアは、100点満点中75点、走行距離はわずか5万7400kmだ。
AMG 560SECは、AMGによって製造された台数が26台といわれている。
予想落札価格は14万−18万ポンド(邦貨換算約2100万円−2700万円)。通常の560SECの新車当時車両価格が、1500万円ほどであったことを考えると、この価格は妥当なものといっていいだろう。
当時憧れていた人にとっては、手が届かなかったAMGを手に入れられるまたとないチャンスといってもいいかもしれない。
希少モデルであること、AMGの歴史を彩るクルマであること、そしておそらくこの先、こうしたクルマがAMGからリリースされることが期待できないだけに、落札価格に注目しておきたい。
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