フェラーリだけじゃない! ケーニッヒが手がけたBMW「6シリーズ」とは?
ド派手なボディワークがケーニッヒの真骨頂
今回ボナムスオークションに登場したのは、そんなケーニッヒが手掛けたBMW「635CSi」である。ネーミングは、BMW「635CSiケーニッヒ・クーペ」となる。
●1986 BMW「635CSi ケーニッヒ・クーペ」
635CSiは当時、世界一美しいクーペと呼ばれていた。それをベースに、ケーニッヒはボディキットによって、シャープなウェッジラインを描いている。
ワイド化されたフェンダーとボディパネル、そしてリアウイングは統一感をもってデザインされ、リアバンパーは大胆に跳ね上げられたことで、センターマフラーは丸見え状態となっている。
これは、ボディサイドの空気をダウンフォースに活かしたいということと、フロア下を流れる空気を極力早く後方へと出すことで、フロアでのダウンフォース獲得を狙ったものだろう。
もちろん、現代のクルマと比べると粗削りなデザインだが、当時の流体の解析はまだまだアナログだったことを思い浮かべてもらえれば、分かりやすいカタチ、といっていいだろう。
そんな635CSiケーニッヒ・クーペが何台製作されたのかは、ケーニッヒに記録が残っていないために不明だ。ただ、イギリスには2台のみであったと伝えられているようだ。つまりこれは、その2台中の1台というわけだ。
このオークションに登場する以前は、長年にわたって博物館で展示されていたとのことだが、博物館側の問題、おそらくは財政面の問題で高等裁判所から販売命令が出され、オークション販売されることとなった。そのため、公道を走るためには再整備が必要だが、再登録するための書類は付属している。
クルマの機能的な状態は不明であるにもかかわらず、予想落札価格は1万5000−2万ポンド(邦貨換算約220万−300万円)と、写真で見る限りあまりコンディションが良くないことを考慮すると、いささか高価とも思える価格だ。
これはクルマというものに文化的な価値を見いだす、文化的側面が英国にはあるからだろう。昨今、E30型「M3」と同じ時代のE24型「6シリーズ」の価格も上昇気味である。果たして、ケーニッヒが手がけたとされるレアな6シリーズにはどのようなジャッジが下されるのか楽しみである。
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