Googleマップだけじゃない! 2021年版 使いやすい無料「ナビアプリ」とは?

iPhone標準の「Maps」はどう? カーナビとして一番使いやすいのは?

●Apple Maps

 Apple Mapsは、iPhoneユーザーなら使うことが多い、iOSに標準装備されている無料のナビアプリだ。

トヨタ「ライズ」のディスプレイオーディオでCarPlayを起動。Apple Mapsは「マップ」と表示される
トヨタ「ライズ」のディスプレイオーディオでCarPlayを起動。Apple Mapsは「マップ」と表示される

 以前は、日本版は交通情報も表示できないなどGoogleマップに大きく見劣りし、それがiPhoneユーザーのGoogleマップ利用に拍車をかけたといわれている。しかし、2020年8月以降、iOSのアップデートに伴って仕様を大幅に刷新し、街並みをリアルに映し出す「ルックアラウンド」や、交通情報の提供も始まった。さらに、リアルタイムの天気情報や、地元の人しか知らないであろうグルメ情報や買い物情報なども提供する。当然ながらCarPlayへの対応は果たしている。

 Siriを使った音声での目的地検索に対応しており、この使い勝手の良さは高く評価していい。目的地をレストランなどとした場合は「食べログ」の評価とも連携できる。

 目的地までのルートは基本的に実用的で、中長距離の案内でも一般道と高速道をバランスよく使っている。ただ、案内自体は全体的にシンプルで、車載カーナビとの比較ではもの足りなさを感じる。また、せっかく準備した新機能も全国にまで及んでおらず、それは整備されるのを待つしかない。

●TCスマホナビ

 TCスマホナビとは、トヨタ自動車が提供する無料のカーナビアプリだ。SDLに対応したことで、トヨタやスズキなど一部の車載カーナビやディスプレイオーディオで利用が可能となっている。

トヨタ「ヤリス」のディスプレイオーディオと連携した画面
トヨタ「ヤリス」のディスプレイオーディオと連携した画面

 地図データはゼンリンデータコムが提供し、地図上にリアルなアイコンで施設をガイドする他、交差点ガイドも3Dイラストで車線ガイドまでサポートする。交通情報はトヨタが独自に収集したプローブ情報を活用。駐車場の満空情報やオービス地点情報も備える。2021年3月31日にサービスを終了し、新たなナビアプリに引き継がれる予定になっている。

●LINEカーナビ

 LINEカーナビは、LINEが提供するAIアシスタント「Clova」を活用した高精度な日本語音声認識と、トヨタのハイブリッドナビを組み合わせたものだ。

ルートガイド中でも、大きめのアイコンで音声コマンド入力が常にスタンバイしている
ルートガイド中でも、大きめのアイコンで音声コマンド入力が常にスタンバイしている

 最大のポイントは、アプリ上にマイクを起動するアイコンを常時表示させて、いつでも音声によるコマンド入力が可能となっていること。さらにスマホを見ることなくLINEメッセージの送信を可能とするなど、メッセンジャーアプリとの連携も魅力。これにより運転時の「ながらスマホ」を防止し、安全かつ便利に利用できることを特徴とした。SDLに対応する。

 ただ、2021年5月31日でサービス終了となる。

●ポータブル スマイリングロード

 ポータブル スマイリングロードは、損保ジャパン日本興亜が提供する無料アプリだ。本来なら有料となるNAVITIMEを無料で使えるようにした。

メインメニューはタイル式タグを使っているので使いやすくわかりやすい
メインメニューはタイル式タグを使っているので使いやすくわかりやすい

 基本的な機能は誰でも利用できるが、機能をフルに使うには会員登録が必要となる。また、安全運転が評価されると保険料が最大20%割引される特典も用意されている。

 目的地を検索すると、ビル内のテナント一覧や周辺にある関連施設などが表示され、探しやすい。ルート案内中は方面案内標識や車線ガイドも表示するなど、無料とは思えない充実度が魅力だ。交通情報はVICSやプローブ情報を使い、渋滞考慮もおこなう。

 目的地はフリーワード検索/地図検索/住所検索と3つの条件の下で探せ、ルート条件も高速/無料の条件が選べる。また、損保ジャパン日本興亜の自動車保険契約者は、距離/ECO/安全の3つが探索条件に加わる。

 走行中に音声で事故多発地点や気象情報を案内するほか、駐車場の満空情報にも対応し、事故に遭ったときの緊急連絡先も登録しておける。ただ、目的地を検索したときにヒット率があまり高くはないようで、経由地の登録ごとに探索条件が設定できないのはマイナス点。保険割引の基準となる安全運転の評価が厳し過ぎるとの声も聞かれる。

* * *

 アプリを実際にカーナビとして使うには、車線ガイドや交差点での案内など、ルート案内の親切度が重要となる。

 この視点で選ぶと「Yahoo!カーナビ」「ポータブル スマイリングロード」の充実ぶりが光る。ただ、Yahoo!カーナビはルート探索を終えた後「おすすめ」「高速優先」「一般優先」を状況によって選ばないと、長距離を延々と一般道を走るハメに陥るから注意が必要だ。

 スマイリングロードは比較的高い評価が与えられるが、機能をフルに活かすには保険契約が必要となる。「TCスマホナビ」「LINEカーナビ」も機能的には充実しているが、サービス提供期限が決定しているなかではお勧めできない。

 利用率が高い「Googleマップ」「Apple Maps」は、いずれもルート案内でもの足りなさを感じてしまう。いずれも、Yahoo!カーナビなどと比べたら、その機能差に大きな違いを感じてしまうはずだ。

 案内ルートについても、Apple Mapsはいまのところ不安は感じないが、Googleマップは一般道で対向車とすれ違えないような細い道路を案内されるのが怖い。

 こうした状況を踏まえると、保険契約者ならスマイリングロードがイチ押し。完全無料で使うならYahoo!カーナビが概ね高い評価が与えられると思う。

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