今後の「軽自動車」に何が重要? 自動車メーカー各社が答える! 日本独自文化の行方とは

軽自動車は、地域性や年齢層、家族構成といった幅広いユーザーからのニーズが絶えません。現在では、国内の新車市場で約4割のシェアを持つほど成熟したジャンルですが、今後の軽自動車には何が重要視されるのでしょうか。

身近なモビリティ「軽自動車」。今後、重要視されるモノとは?

 いまや、日本の新車市場の4割は軽自動車が占めています。車両購入費、維持費、コンパクトなサイズゆえの使い勝手などが支持されている要因です。
 
 そうしたなかで、今後の軽自動車市場において次なるトレンドとは、どのような物があるのでしょうか。

今後の軽自動車に重要視されるモノとは? (左上:N-BOXCustom、左下:ROOX highwaystar、右上:三菱「eK X SPACE」、右下:ダイハツ「TANTO Custom」)
今後の軽自動車に重要視されるモノとは? (左上:N-BOXCustom、左下:ROOX highwaystar、右上:三菱「eK X SPACE」、右下:ダイハツ「TANTO Custom」)

 現在、人気の軽自動車は、大きくふたつのタイプが主流となっています。

 ひとつは、全高1700mmを超える後席にスライドドアを備えた「スーパーハイトワゴン」。

 代表的なモデルとして、ホンダ「N-BOX」、スズキ「スペーシア」、ダイハツ「タント」、日産「ルークス」、三菱「eKスペース/eKクロススペース」が挙げられます。

 もうひとつは、全高1600mm以上かつ後席にヒンジ式ドアを備えた「ハイトワゴン」です。

 代表的なモデルとして、ダイハツ「ムーヴ」「タフト」、日産「ルークス」、ホンダ「N-WGN」「N-ONE」、三菱「eKワゴン/eKクロス」、スズキ「ワゴンR」「ハスラー」となります。

 これらふたつのタイプは、利便性の高さなどからファミリー層を中心に支持を得た結果、全国軽自動車協会連合会の発表によると合計で軽乗用車の7割程度のシェア率を保持し、軽自動車市場をけん引する存在となっています。

 現在は、全高やスライドドア有無がひとつのトレンドとして考えられていますが、今後の軽自動車市場で重要になってくるトレンドとは、どのようなものなのでしょうか。スーパーハイトワゴンやハイトワゴンを展開する国産メーカー各社に伺ってみました。

 まず、軽自動車の販売台数ランキングにて6年連続で首位となったN-BOXを販売するホンダに聞いたところ、N-BOXの開発主査が次のように説明しています。

「昨今、軽自動車が国内市場のなかで大きなボリュ-ムを占めてきています。

 また、200万円に近い、またはそれを超える価格の軽自動車も、ある一定の販売台数を占めており、その背景には『税金恩恵、燃費性能、(普通車並みのクルマもあるが)価格、経済性の他』、『質感、装備の改善、基本性能の向上』、『軽自動車とは思えない室内空間』、『普通車と同等の安全装備の装着』などが考えられます。

 今後もこれらの要素は引き続き軽自動車のなかでは重視点になると思います。

 また、個人的にはキーワードとなるのが『高齢化社会』では無いかと思います。

 高齢化が進む日本のとくに地方では、上記の要素に加えて移動に必要な『交通手段』でもある軽自動車に『高齢化社会』への対応が不可欠では無いかと考えます。

 クルマ社会全体にいえることではありますが、具体的には『操作ミスに対するロバスト性(さまざまな変動から影響を受けにくい性質) ⇒ 安全機能の充実』、『運転そのものに対する使い勝手の向上 ⇒ 運転サポート機能の充実』といったことが挙げられます。

 これらは、すべての軽自動車では無いにしても、より近距離向けの都市コミューターの要素(これは電動化とも関連してくると思います)などが、とくに軽自動車への重視点となると思います」

※ ※ ※

 一方で多種多様な軽自動車を展開しているダイハツは次のように説明しています。

「低燃費や利便性に加え、安全性や先進技術の搭載ニーズは引き続き高まると考えています。

 これまでも2000年代後半からの広さと利便性を求めるスペース(ハイトワゴン)系、2010年前後からの低燃費ブーム。

 その後2017年頃からの安全ブームなど、時代に合わせ軽の注目される要素がどんどん変化してきており、お客さまの声に真摯に耳を傾けて、それらに対応しながら、時代の先取りも心掛けてきました。

 今後もお客さまの多様なニーズに対応するクルマづくりに加え、カーボンニュートラルに向けた電動化は軽自動車にも必要だと考えています。

 弊社のクルマづくり『DNGA』の柱である『良品廉価』『最小単位を極める』『先進技術をみんなのものに』の基にエントリーユーザーからご高齢者まで、都市部から地方部まで、お客さま一人ひとりに最適なモビリティライフを提供し、軽自動車と小型車の幅広いラインアップでお客さまのニーズに対応していきます」

※ ※ ※

 ホンダやダイハツでは、地域性や年齢層、家族構成といった幅広いユーザーからのニーズが耐えない軽自動車において、金額面の優位性はそのままに軽自動車ならではのモビリティとしての多様化が重要だという答えとなりました。

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