パッと見はキワモノだけど実は大真面目!? ブランドイメージと異なる珍車5選

ブランドイメージというのはメーカーにとって非常に重要なものです。なかでもスポーツカーや高級車などに特化したメーカーは、そうしたクルマを作り続けることで、ユーザーから絶大な人気と信頼を得ているといえるでしょう。しかし、そんなブランドイメージとは異なる車種を販売した例も存在。そこで、ブランドイメージからかけ離れた珍しいクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

ブランドイメージを覆すような珍車を振り返る

 自動車メーカー各社には、なんらかのブランドイメージがあります。さまざまな車種を展開しているメーカーではブランドイメージが希薄になりがちですが、スポーツカーや高級車などに特化したメーカーはブランドイメージを非常に重視しており、これがユーザーから絶大な人気と信頼を得ることにつながっているといえるでしょう。

ブランドイメージとはかけ離れたイメージの珍車たち
ブランドイメージとはかけ離れたイメージの珍車たち

 たとえば、現在、世界的に人気が高いSUVですが、フェラーリは未だにSUVを販売していません。

 一方で、さまざまな理由からブランドイメージを覆すような車種を展開したケースも存在。そこで、ブランドイメージからかけ離れた珍しいクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

●キャデラック「エスカレードEXT」

ラグジュアリーなピックアップトラックとして満を持して登場した「エスカレードEXT」
ラグジュアリーなピックアップトラックとして満を持して登場した「エスカレードEXT」

 キャデラックは米ゼネラルモーターズが所有する高級車ブランドで、誕生から100年以上もの長い歴史があります。

 かつて、キャデラックを所有することはアメリカでは成功者の証であり、過去30年ほどは大統領専用車にキャデラックの名が使われるなど、高級車ブランドとしての地位を不動のものとしています。

 このキャデラックから2001年に発売されたのが、同ブランド初のピックアップトラックである「エスカレードEXT」です。

 ベースとなったのは巨大なフルサイズSUVですが、大元はシボレーのSUV「サバーバン/タホ」とあって、ピックアップアップトラックに仕立てるのはそれほど難しくはなかったと思われます。

 2007年には2代目が登場。エンジンは6.2リッターV型8気筒OHVを搭載し、最高出力は410馬力を誇り、内装もキャデラックにふさわしい豪華絢爛なものでした。

 また、荷台前部のハッチを開けるとキャビンとつながる機構を採用し、長尺な荷物に対応するなど実用性も重視されています。

 アメリカでは税金や保険料でピックアップトラックが優遇されているため、比較的高額な車両価格のモデルでも人気が高いのですが、エスカレードEXTは成功したとはいえず、2015年に3代目エスカレードが登場した際に消滅してしまいました。

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●アストンマーティン「シグネット」

超ミニサイズながら高級車としてのオーラがある「シグネット」
超ミニサイズながら高級車としてのオーラがある「シグネット」

 英国を代表する高級スポーツカーメーカーといえばアストンマーティンです。創立は1913年と長い歴史のあるメーカーで、第二次世界大戦以前から高性能なスポーツカーを作り、現在は高級かつ高額な2ドアクーペを主力商品として販売しています。

 このアストンマーティンが2011年に突如、超小型車の「シグネット」を発売しました。

 シグネットはトヨタ「iQ」をベースにしたモデルで、iQの完成車をトヨタから購入して、専用設計のボディパーツや内装パーツが手作業で組み替えら、シグネットに仕立て直す手法で生産。

 外観のシルエットはiQと大きな違いはありませんが、アストンマーティンのアイコンにもなっている伝統のフロントグリルや、ボンネットのエアインテーク、フロントフェンダーのエアアウトレットなどで、アストンマーティンらしさが随所に見られます。

 内装もシートやトリムに本革をふんだんに使用することで、高級車にふさわしい仕立てで、各部に遮音材の追加や、エンジンとトランスミッションのマウントを変更することで、車内の静粛性を向上させていました。

 アストンマーティンがシグネットのような小型車を販売した背景には、メーカーへ課せられた燃費規制をクリアする目的があったようですが、2013年生産を終えてしまい短命でした。

 ちなみにシグネットは日本にも正規輸入され、当時の価格は475万円(消費税8%込)からと、iQの3倍近い値段でした。

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●ランボルギーニ「LM002」

悪路走破性が高く高級SUVの先駆け的存在だった「LM002」
悪路走破性が高く高級SUVの先駆け的存在だった「LM002」

 フェラーリとならぶ老舗スーパーカーメーカーといえばランボルギーニです。このランボルギーニが2018年に発売した高級SUVの「ウルス」は、現在、好調なセールスを記録しています。

 実はランボルギーニがSUVを発売したのはウルスが最初ではなく、かつて「LM002」というプレミアムなオフロードカーを販売していました。

 ランボルギーニは1977年のジュネーブモーターショーで、アメリカ軍向け高機動車のプロトタイプ「Cheetah(チーター)」を発表し、1981年にはチーターを一般向けにモディファイした「LM001」を製作。

 そして、1982年に自社製4.8リッターV型12気筒エンジンを、アルミニウムとグラスファイバーを使用したボディに搭載した「LM002」を同社初のオフロードカーとして発表し、1986年から市販を開始しました。

 1986年には、当時、ランボルギーニで最高峰のスーパーカー「カウンタック」用に開発した5.2リッターV型12気筒48バルブエンジンをデチューンして搭載し、駆動方式はフルタイム4WDで、最高速度は210km/h、0-100km/h発進加速7.8秒という当時のオフロードカーとしては驚異的な走行性能を実現。

 また、内装はオールレザーで仕立て、オーダー次第でさまざまな装備を搭載できるなど、高級SUVの先駆け的存在でしたが、セールス的に好調ではなく、1993年に生産を終了しました。

 今でこそ、超高級SUVは珍しくありませんが、「ミウラ」やカウンタックが代表作だった当時のランボルギーニが作ったオフロードカーは、かなりインパクトがありました。

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