「実車版ミニ四駆」優勝賞金1億円! 最高時速300キロ超の完全自動運転車レ-ス開催の意図とは
決勝レースはどのような光景になるのか
この他、近年の自動運転車によるレースでは、一時フォーミュラeとの併催を検討してきた、英国の「ロボレース」があります。
主催者が各チームに同じ仕様のマシンを用意し、ソフトウェアのプログラミングによる競技を前提としています。
同社の開発担当者を取材すると「マシン開発は順調で、フォーミュラEと同様の高速走行によるパフォーマンスは可能」というものの、新型コロナ感染症拡大の影響もありレースのシリーズ化には至っていない状況です。
日本では、自動運転など次世代車開発の技術者を育成する目的で、自動車メーカーなど自動車業界の学会である公益社団法人 自動車技術会が「自動運転AIチャレンジ」を実施しています。こちらも、ソフトウェアのプログラミングによる競技となります。
第一回は2019年に東京大学柏キャンパス内で低速走行のゴルフカートをベースとした実車によって争いましたが、コロナ禍の2020年第二回大会は、競技、審査、そして表彰式までもオンラインでおこないました。
こうした学術的または商業的な観点での自動運転車レースは、構想を含めて世界各地に存在するのですが、そうしたなかでインディ・オートノーマス・チャレンジは、走行速度の高さで他を圧倒することになりそうです。
主催者が示すルールによると、実車による予選では、10周の平均速度は最低時速100マイル(時速160km)以上、さらに20周の決勝では平均速度は最低時速120マイル(時速192km)と規定されています。
ただし、前述のようにマシン性能としては最高時速300km超も可能なのですから、果たして優勝チームはどれほどのスピードまで達することができるのでしょうか。
むろん、スピードが上がれば、空力の影響も増えることで操縦安定性を維持することは難しくなりますし、また一般的なサーキットと違いオーバルコースはコース外側にセーフティゾーンがなく、クラッシュするとコンクリートウォールに一撃という大きなリスクがあります。
2021年10月23日の決勝が、いったいどのような光景になるのか、不安を感じる一方で若い世代の挑戦に対する世界からの大きな期待も膨らみます。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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