どこが変わった? ロールス・ロイス新型「ゴースト」の魔法の走りとは

ソフトで極上の乗り心地なのにスポーツカーのようなハンドリング

 試乗は栃木県・日光をベースに、中禅寺湖の周辺道路、いろは坂、宇都宮までの高速道路も走った。

ロールス・ロイス新型「ゴースト」のインパネ
ロールス・ロイス新型「ゴースト」のインパネ

 というように色々なコースでハンドルを握って走ったのだが、最初にホテルのエントランス前のロータリーを半周したときに「全然違う!」と声を出してしまった。あまりにも滑らかに、振動を遮断したように静かに走った。エントランスは石畳状の路面だったが、厚いカーペットの上を走る感覚だったからだ。

 中禅寺湖の周りの道は舗装状態があまり良くないが、これは路面が冬に凍るからだろう。それでも新型ゴーストはゆっくりした上下動を伴うものの、路面の不整でも段差でもうねりでも滑らかに通過した。

 サスペンションは先代よりもソフトで、ストローク量も増えていると感じた。ウインドシールドに組み込まれたカメラが先の路面を読んで、事前にサスペンションの調整をしてくれるという。これはBMW「7シリーズ」から採用したものだが、新型ゴーストではさらに進化している感じだ。

 乗り心地で旧型との大きな違いがもうひとつ。バネ下のブルブルとした振動を感じないことだ。

 先代でも、路面段差を通過したときにはカドが丸く、小さな衝撃しか伝えずに快適な乗り心地を味わえたが、それでもバネ下の振動の残りは感じた。それが新型ではまったくなくなっている。R-R「ファントム」と「カリナン」と共通の独自プラットフォームを投入して剛性は高くなってはいるが、ポイントは「フロントダンパーのためのダンパー」だ。これはダブルウイッシュボーンのアッパーアームの微振動を吸収すべく、黄色いウレタンダンパーが上下にふたつずつ付いているもので、R-Rでは「ダンパーforダンパー」と呼んでいる。これが良い働きをしているようだ。

 ここからが新型の本当に凄いところだ。サスペンションがこれだけソフトでストロークもするのに、ハンドリングは素晴らしいのひとことなのだ。

 奥日光に向かうワインディングロードは、ゴーストには狭くタイトターンが多かったが、そこをスポーツカーのように走り抜けることができる。なんでロールを感じないのか? なんでゆらゆらしないのか? これだけの乗り心地をキープしながら、2.5トンの巨体を持て余すことなく走り抜けた。先がさらに小さく回り込んでいるタイトターンでも、前が逃げることなくハンドルを切り込むとノーズがインを向く。

「ポスト・オピュレンス(脱贅沢)」が新型ゴーストのテーマになったという。贅沢を極めるとシンプルになる。無駄なものを削ぎ落として洗練されたものに仕上げたという。

 先代ゴーストのオーナーでも、新型ゴーストにちょい乗りするだけで、その違いに驚くはずだ。

ロールス・ロイス新型「ゴースト」。ロールス・ロイスの伝統でもある観音開きドアを採用する
ロールス・ロイス新型「ゴースト」。ロールス・ロイスの伝統でもある観音開きドアを採用する

ROLLS ROYCE GHOST

・車両価格(消費税込):3590万円
・全長:5545mm
・全幅:2000mm
・全高:1570mm
・ホイールベース:3295mm
・車両重量:2590kg
・エンジン形式:V型12気筒DOHCツインターボ
・排気量:6748cc
・駆動方式:4輪駆動
・変速機:8速AT
・最高出力:571ps/5000rpm
・最大トルク:850Nm/1600rpm

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