最終型は最良型!? VW「ゴルフGTIパフォーマンス」に乗って感じた熟成味とは

ゴルフR、ポロGTIとの違いとは

 ドライブモードを「スポーツ」モードにすると、アクセルレスポンスやシフトスケジュール、そしてエキゾーストサウンドが変わり、足まわりもひき締まる。

VW「ゴルフGTIパフォーマンス」の走り
VW「ゴルフGTIパフォーマンス」の走り

 それでも路面の凹凸に追従してよく動く感覚はあまり変わらず、路面の突起を通過したときのアタック音だけ大きくなる印象で、ステアリングも手応えは増すものの、重いとまでは感じない。どうすればこんな味付けが可能なのか、感心せずにいられない。

 弟分のポロGTIに対しては、ドライブフィールがずっと上質で快適だ。ポロGTIも現行型はずいぶん上質になったように感じていたのだが、ワインディングに持ち込むと、いかにも弟分らしいヤンチャさを感じさせ、そこがまた楽しかったりする。

 だから走りの一体感という意味では、軽量でもあるポロGTIのほうが上だ。ただしそのあたりは、お互いに与えられたキャラクターの違いであり、ドライバーが目指す走りの趣向によってどちらかを選べばよいだろう。

 一方、「ゴルフR」に対しては車両重量が80kg軽いが、印象としてはもっと身軽に感じられる。

 とくにコーナー立ち上がりの挙動がだいぶ違って、パワーをかけてもゴルフRは4WDらしく安定しているのに対し、GTIパフォーマンスのスポーツモードでは少しだけ外に膨らんでトラクションコントロールが作動する。さらにそこから、今度はESPがブレーキを個別に最適に制御しているようで、小さな舵角を維持したままグングンと前に進んでいく。

 このあたり、標準のゴルフGTIはもう少し挙動が控えめだったような気もした。

 じつはゴルフGTIとゴルフGTIパフォーマンスでは、電子ディファレンシャルロックの「XDS」と電子制御油圧式ディファレンシャルロックというそれぞれ別の機構が与えられているという違いもあり、その差に加えてゴルフGTIパフォーマンスは、あえてFFの高性能車とはこういうものだと表現しているかのように感じられた。

 それはこのクルマが「パフォーマンス」たる所以でもある。このなんとも絶妙な味付けは、個人的にも非常に気に入った。ゴルフGTIパフォーマンス、楽しいぞ!

* * *

 すでに本国では、ゴルフ8をベースとした新型ゴルフGTIもリリースされているタイミングゆえ、多くの人の興味もそちらに向いていることに違いないが、よくいわれる「ドイツ車は最終モデルが最良」というフレーズは、ゴルフGTIにも当てはまりそうな気がする。

 まだゴルフ8に触れていないタイミングではなんともいえないものの、この完成度を超えるのはそう簡単なことではないように思えた。もしまだゴルフGTIパフォーマンスの新車在庫があれば狙うのも大いにありだろうし、いずれ中古車市場で流通した際にも、大いに目を向けるべき価値のあるクルマだと痛感した次第である。

VW「ゴルフGTIパフォーマンス」のインパネ
VW「ゴルフGTIパフォーマンス」のインパネ

Volkswagen Golf GTI Performance

・車両価格(消費税込):483万9000円
・全長:4275mm
・全幅:1800mm
・全高:1470mm
・ホイールベース:2635mm
・車両重量:1430kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1984cc
・駆動方式:FF
・変速機:7速DSG(DCT)
・最高出力:245ps/5000-6700rpm
・最大トルク:370Nm/1600-4300rpm
・タイヤサイズ前後:225/35R19
・JC08モード燃費:14.0km/L

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