なぜいま 人気の電気自動車「e-ゴルフ」が生産終了? VWが見据える今後のEV戦略とは
独フォルクスワーゲン(VW)は2020年12月23日、同日を持ってハッチバックモデル「ゴルフ」をベースとした電気自動車(EV)「e-Golf(e-ゴルフ)」のVWドレスデン工場での生産を終了したと発表した。
EVが流行している欧州で、なぜいまe-ゴルフが生産終了なのか
独フォルクスワーゲン(VW)は2020年12月23日、同日を持ってハッチバックモデル「ゴルフ」をベースとした電気自動車(EV)「e-Golf(e-ゴルフ)」のVWドレスデン工場での生産を終了したと発表した。
2014年に発売されたe-ゴルフは、2020年の夏までVWヴォルフスブルク工場でも生産されていた。ヨーロッパでもっとも人気のあるEVのひとつであり、とくにノルウェーとドイツでの販売が好調だったという。
2017年3月にはドレスデン工場でも生産を開始、この日までに5万401台のe-ゴルフがラインから出荷されたという。ヴォルフスブルク工場とドレスデン工場のふたつの生産拠点を合わせると、14万5561台が製造されている。
e-ゴルフは2017年10月に、プラグインハイブリッド(PHEV)である「ゴルフGTE」と同時に日本でも発表された。発売当時の車両価格は499万円(消費税込)だった。なお2020年12月現在は、すでにVGJのホームページから外されている。
このe-ゴルフは、日本においてはVWブランド初のピュアEVで、VWの生産モジュール「MQB」を用いたゴルフ初となるゼロエミッションビークル。最高出力100kW(136ps)・最大トルク290Nmを発生する電気モーターをフロントボンネット下に搭載、35.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載することで、航続距離はJC08モードで301kmを達成していた。
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EVシフトが急速に進んでいる欧州メーカーにあって、なぜVWはいま、人気のあったEVであるe-ゴルフの生産を終了するのだろうか。
その理由は、VWは完全電動モデル「id.シリーズ」の生産に注力していくからだ。e-ゴルフの生産を終えたドレスデン工場でも、2021年のはじめの3週間でモジュラー・エレクトリック・ドライブ(MEB)に対応するモデルを生産できるように再構築され、同年1月末には最初の「ID.3」が組立ラインからロールオフされる予定だ。
ID.3は、MEBプラットフォームを用いる最初のEVで、58kWhのバッテリー容量を持つ「Pro Performance(プロ・パフォーマンス)」と77kWhの「ProS(プロS)」があり、ベースモデルは、150kW(約204ps)・320Nmを発生するモーターを搭載、後輪を駆動する。
ベースモデルのWLTPモードでの最大航続距離は420kmだ。ドイツ本国での車両価格は3万ユーロ(日本円で約380万円)以下からとなる。最大9480ユーロ(日本円で約115万円)というドイツの環境補助金の対象車種にもなっており、ドイツ以外のヨーロッパ諸国でも、それらの国々での助成金を利用することができる。
ドレスデン工場の工場長であるDanny Auerswald氏は「e-ゴルフの終了は、ID.3の生産開始の準備でもあります。あと数週間で、ドレスデン工場の次の章が始まります。ツヴィッカウ工場に続いて、私たちは新しいモジュール式e-ドライブシステムをベースにした車両を製造するヨーロッパで2番目の拠点となります」とコメントしている。
ドレスデン工場は2001年の操業開始以来、「フェートン」(2001年から2016年、生産台数8万4235台)、ベントレー「フライングスパー」(2005年・2006年、および2013年・2014年、生産台数2186台)、およびe-ゴルフ(2017年から2020年、生産台数5万401台)をラインオフした。
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