なぜ販売続く? 10年目のレクサス「CT」 密かに残り続ける理由とは
2021年で10年目突入。 CTは乗るとどんな感じ?
パワートレインは、3代目のトヨタ「プリウス」と基本的に同じで1.8リッター+モーターのTHSIIを搭載。必要十分なパフォーマンスは備えるものの、同システムを搭載する最新モデルと比べると体感的な力強さは今ひとつです。
とくにアクセルを踏んだ際の応答性がイマイチなのとエンジン回転と車速の伸びがチグハグなラバーバンドフィーリングが強く残ってしまうなど、前時代的な部分も否めません。
プラットフォームは3代目プリウスと同じ新MCプラットフォームですが、ボディ剛性やダブルウィッシュボーン化されたサスペンションなどはCT専用です。
ロングライフだけあり、これまで吸音・遮音材の改良による静粛性アップやスポット溶接打点の追加や構造用接着剤の採用&サスペンションアップデートによる走りの進化もおこなわれています。
実際に乗ってみると、確かにボディの剛性感やスポーティな姿勢変化が抑えられたスポーティなハンドリングなどは「古いのに、なかなかやるね!!」と感じる部分もありますが、一方でステアリングの切り始めが曖昧で直結感が乏しいステアフィールや一体感に欠けるクルマの動き、ストローク感が乏しい硬めの乗り心地などは古さを感じる部分です。
逆をいえば、既存のプラットフォームだと走りと乗り心地のバランスが難しいと思いますが、既存プラットフォームながら走りは激変したISがある以上、いい訳はできません。
安全支援パッケージは2017年の改良で「レクサスセーフティシステム+」を全車標準装備。
2020年の改良でパーキングサポートブレーキ(静止物)がプラスされていますが、システム自体は旧世代なので、仮に同じ機能であっても性能差は存在しています。
デビューからそろそろ10年ということを踏まると悪くはないクルマだと思いますが、価格を含めた商品力ではライバルのプレミアムコンパクトハッチはもちろんトヨタブランドの「カローラスポーツ」にも惨敗です。
そのため、「レクサスでなければ困る」、「駐車場のサイズが決まっている」といった特定の理由を持つ人以外には積極的なおススメはできないのが本音です。
CTのベースとなった3代目プリウスは、2015年にTNGAプラットフォームを採用した4代目へと進化しましたが、CTは継続販売の道を選びました。
筆者(山本シンヤ)はこのときの決断が運命の分かれ道だったと思っています。
ちなみにCTがデビューした際、開発チームは「末っ子はヤンチャなほうがいい」と語っていました。
筆者はレクサスブランドの入門モデルだからこそ、兄貴分以上に個性が必要であることの裏返しである、と解釈しています。
今後、2代目CTの開発計画があるかどうかはわかりません。
ただ、仮に存在するならば、実用性はUXに任せる代わりにLCも驚くようなエモーショナルなデザインと最新の電動化技術を採用したプレミアムエレクトリックスポーツコンパクトというような2代目CTを期待したいところです。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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