高性能モデルはなぜ必要? VW最強ホットハッチ「ゴルフR」に乗って考えた
4WDだからこその重厚感ある走り
走りのキャラクターは、じつにわかりやすく高い性能が表現されていて、「4WDだからこそ」できたことがいくつもある。
駆動力を4輪に分散させる4WDだからこそ、ゴルフGTIがホイールスピンを避けて発進を抑えているのに対し、ゴルフRは最初の蹴り出しが力強い。
巡行時の安定感と安心感も4WDだからこそ。第2世代に進化した「DCC」と専用のスポーツサスペンションを組み合わせた足まわりは、路面に吸い付くかのように常に4輪がしなやかに捉える。こうしたクルマとしては望外なほど快適性に優れ、不快な硬さを感じさせない足さばきの巧みさには感心するほかない。
コーナリングでも、ターンインから立ち上がりまで、4WDだからこそ回頭性を高めてハンドリングをニュートラルステアに近づけることができている。これには基本素性として持つアンダーステアを払拭すべく搭載された、電子制御式ディファレンシャルロックの「XDS」も効いているに違いない。
最高出力が310psもあるのだから、動力性能がもの足りないわけはない。
さすがは0-100km/h加速タイムが4.9秒と、5秒を切るだけのことはある。全域でゴルフGTIよりもパワフルなエンジンはレブリミット6500rpmまで痛快に吹け上がり、サウンドジェネレーターによる音の演出もある。
ゴルフGTIが高性能ななかにも軽快さを感じさせるのに対し、ゴルフRの走りには重厚感があり、いかにも高性能なクルマを操っているという感覚をドライブしている間ずっと感じる。いたってジェントルにして、ハイパフォーマンス。そつなくすべてがまとめられているあたりも、いかにもVWらしい。
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環境問題が取り沙汰される一方で、欧州の多くのメーカーがCセグメントの高性能モデルをラインアップしているのは、こうしたクルマの市場がけっして小さくないからにほかならない。まもなく日本でもフルモデルチェンジが予定される新型ゴルフをベースにした最高性能版も、さらなる高みへと達することに違いない。
おそらく、今後はめったに乗る機会がなくなるであろうこのタイミングで、あらためてドライブすることのできた2代目ゴルフR。その実力と完成度の高さを再確認させるとともに、次期型への期待を大きく膨らませるものをヒシヒシと感じさせるのだった。
Volkswagen Golf R
・車両価格(消費税込):590万9000円
・全長:4275mm
・全幅:1800mm
・全高:1465mm
・ホイールベース:2635mm
・車両重量:1510kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1984cc
・駆動方式:4WD
・変速機:7速DSG(DCT)
・最高出力:310ps/5000-6500rpm
・最大トルク:400Nm/2000-5400rpm
・タイヤサイズ前後:225/40R18
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