EVは「大衆車」になれる? インフラ整備で課題山積み 地方格差をどう縮める?

日本のみならず世界中で「脱ガソリン車」に伴う電動化が進んでいますが、日本でも現在のガソリン車のように「大衆車」となることが期待されています。現時点での都市部と地方部で起こっているインフラ面での課題とはどのようなものなのでしょうか。

世界的なEV化、国内では地域差が課題に

 世界中で広まる自動車の電動化ですが、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)において、日本はインフラ整備が整っていないなどの理由から普及は難しいとの意見があります。本当に普及させることはできるのでしょうか。

EVの普及には欠かせないインフラ整備。しかし、既存施設の老朽化や地方格差など課題は山積みといえる。
EVの普及には欠かせないインフラ整備。しかし、既存施設の老朽化や地方格差など課題は山積みといえる。

 2020年11月、日本政府が純粋なガソリン車の新車販売を2030年を目処に禁止する方向で調整をおこなっていると、各メディアが報道しました。

 正式な発表はありませんが、自動車大国の日本においてこれが確定すれば、国内だけでなく世界の自動車市場に大きな影響を与えることは間違いないと予想されています。

 純粋なガソリン車の新車販売が禁止された後は、電動車(ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・電気自動車・燃料電池車)のみが新たに発売されるモデルとなります。

 しかし、ハイブリッド車の普及が進んでいるものの、ある統計では未だ国内でのEV普及率は1%を切っているとのことです。

 もし、今後の規制がさらに強化され新車販売のすべてがEVまたはFCVなど完全にエンジンが搭載されないクルマになった場合、本当に国内で普及するのでしょうか。

 現在、世界中では自動車の電動化に向けてさまざまな動きが出ています。

 最近で記憶に新しいのは、2020年9月に、アメリカのカリフォルニア州知事が2035年までにガソリン車の新車販売を禁止することを州政府に指示したことでしょう。報道後はSNSなどで大きな話題を呼び、世界の自動車オーナーを驚かせました。

 また、それ以前にも、2019年3月に中国海南省政府は「海南省クリーンエネルギー車発展計画」を発表しており、2035年までに新エネルギー車(NEV)の割合を50%に高めるとしています。

 そして、その影響もあってか、各自動車メーカーは続々とEVを発売、もしくは発売予定としています。

 国産EVの代表格といえば、2010年から発売されている日産「リーフ」が挙げられます。

 三菱「i-MiEV」に続く量産EVとして登場し、2017年には現行の2代目モデルも発売されました。

 加えて、日産は2020年7月にSUVタイプのEV「アリア」を発表。2021年中頃に発売予定としていますが、早くも販売店には見積もり依頼の問い合わせがあるほど、特定のユーザーからは非常に高い関心を集めているようです。

 2020年10月には、ホンダ「Honda e」が発売されました。コンパクトな車体と初代「シビック」をオマージュしたといわれる可愛らしい見た目が話題を呼び、街中コンパクトEVとして販売に期待が寄せられています。

 実際のところ、現在国内ではどれほどEVは売れているのでしょうか。発売から10年目を迎える初代国産EVのリーフにおける販売状況からみてみましょう。

 まず、ある首都圏日産販売店スタッフは次のように話します。

「初代モデルが発売時はそれなりの販売がありましたが、最近のほうが売れている印象です。

 これは充電スタンドが増えたことが大きな要因でしょう。これが『大衆車』になるためには、充電インフラを含めまだまだたくさんの課題があると思います。

 リーフは量産EVとして誇り高いクルマですので、もっとたくさんの人に乗っていただければ嬉しいです」

 都心部では、それなりの売れ行きのようでした。充電スタンドの増加や、家庭用充電グッズの普及が主な要因でしょう。

 しかし、地方部では状況は異なるようです。地方都市の日産販売店スタッフは次のように話します。

「初代モデル、2代目モデルもそこまで売れていません。やはり、インフラが整っていないためでしょう。

 家庭用充電設備を持つ人でも、外出先で充電ができないとして購入に至らないという人もいらっしゃいました。

 地方では、クルマが重要な移動手段ですので、止まってしまうリスクを皆様考えられます。

 簡単にロードサービスを呼べる環境でもないので、さまざまな角度から不安定な燃料を持つEVの普及は非常に困難だと思います」

※ ※ ※

 地方では、やはりインフラ整備の関係から、都心部ほどEVが普及しているわけでは無いようでした。

 また、ガソリンのように持ち運びが簡単なわけではないので、電欠時の不安はより大きいようです。

 国内でのEV普及は、やはりインフラ整備という壁がまだまだ立ちはだかっているようです。

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1件のコメント

  1. 電気自動車は楽しみですが、ガラポンくじで車が当たっても維持費は当選者負担だからね、EVも準備が逆だから期間を圧したところで結局は民に負担がのし掛かるだけだしね。
    何だか連結バスにしてもEVにしても単なる宣伝カーにしか思えないのはアタシだけかな?

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