まさにフランスの工芸品! 「DS7クロスバック」が表現する世界観を味わった

2018年7月に日本に上陸した、DSオートモビルズのSUVが「DS7クロスバック」だ。独創的な内外装や圧倒的な質感など、既存のSUVとは大きく異なるアプローチのモデルとなる。フレンチラグジュアリーの「匠の技」を自動車産業に具体化というDSブランドのフラッグシップに試乗した。

伝説のモデル「DS」の世界観を現代に蘇らせたDS7クロスバック

 1955年のパリ・モーターショーで話題をさらったのは、シトロエンが発表した「DS」(DS19)だった。未来志向のスタイリング、既成概念から脱皮するかのようなアヴァンギャルドなテクノロジーが注目の的になった。

 DSはDS19、DS21、DS23と約20年間にわたって進化しながらフランスの高級車として好評を博し、世界中で成功を収めた。

 1958年に発表された運転席と後席の間にパーテーションを持つ「DS19 Prestige」は、当時の大統領、シャルル・ド・ゴール大統領の公用車としても使われた。こうしてDSは、フランスのエレガンスの象徴として認知されてきた。今回紹介する「DS7クロスバック」も現在マクロン大統領の専用車として使われているという。

 DS登場から約60年後(!)の 2014年6月1日に、DSは独立したブランドとして創設された。もちろん元を辿ればシトロエンなのだが、同じグループであってもいまはシトロエンやプジョーとは別のブランドになったのだ。

 DSのコンセプトは、フレンチラグジュアリーの「匠の技」を自動車産業に具体化するという構想だ。いまそれを着実に進めている。

「DS7スポーツバック」
「DS7スポーツバック」

 そのひとつが「DS7クロスバック」である。形としてはSUVだが、各パートを細かく見ると、もはや美術工芸品の領域に入ったクルマという印象を受ける。

 まずエクステリアデザインだが、大きなラジエターグリルはクロスした斜めのラインでダイヤ型を作っている。このダイヤ型は車室内にもたくさん散りばめられているが、DSのひとつのデザインアイデンティティになっている。

 グリルの中央にはDSのロゴが輝いている。ライトユニットの下側とグリルの左右と下部につながった一体型のクロームパーツがDSの豪華さを強調している。

 ヘッドライトは「DSアクティブLEDビジョン」と呼ばれるもので、照射方向をパートごとに細かく制御して対向車、先行車を幻惑せずに前方を明るく路面を照らしてくれる。エンジンをかけたときに発光部がグルグルと回ってアクティブだということをアピールする。壁などに映ると回転した光がドライバーからも見えるが、外から直接見るのも面白い。

 ハッチバックドアの切れ目は、後ろからは見えないタイプ。DS7クロスバックの後ろについて走ると、とてもスマートでスッキリしたデザインなのがわかる。SUVっぽく見えないのも、こうしたデザインによるところが大きい。

 室内に入ると、ドアの内張りやダッシュボードにパールトップステッチと呼ぶ白い綺麗なステッチが施されている。黒い内張りに白くて丸い小さなステッチがさりげなく豪華さを醸し出している。

 シートに座る前に気付くのが、クッション部とバックレストの大胆なデザインである。試乗車はオプションのOPERA(ナッパレザーシート、ナッパレザーダッシュボード、フロントシートベンチレーション)が付いていた。

「DS7スポーツバック」のフロントシート。試乗車はオプションのナッパレザー「OPERA」(30万6000円)を装備
「DS7スポーツバック」のフロントシート。試乗車はオプションのナッパレザー「OPERA」(30万6000円)を装備

 シートの模様は腕時計のベルトを模したデザインであるが、深い切れ込みの部分は本革を継ぎ接ぎしたのではなく、1枚革で深い切れ込みを入れた贅沢な作りにしている。浅い切れ込みだとステッチの部分が硬く感じて座り心地が悪くなるが、深い切れ込みなので座り心地も上等だ。しっかりと身体を支えるホールド性があり、かつ優しいタッチになっている。

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