「ダメなのはわかるけど…」どこまでOK? 曖昧になりやすい交通ルール5選

2秒以上の凝視もNG!運転中の細かいルール

●携帯電話の使用はどこまでOK?

 運転中のスマホの利用は、2019年12月道路交通法の改正により、厳罰化されました。では、運転中のスマホ操作は、どこまでなら可能なのでしょうか。

 道路交通法第71条5の5では、「自動車又は原動機付自転車を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置を通話のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと」とされています。

 そのため、「当該自動車等が停止しているときを除き」違反となることになり、停車中は対象外であると解釈することが可能です。

 この「停車中」の明確な定義はありませんが、一般的にはタイヤの回転が完全に止まっている状態のことを示しており、道路交通法において赤信号では停止しなければならないとされているため、信号待ちはクルマが停止した状態と解釈することができます。

 これらの解釈により、公道であってもクルマが完全に停止した状態であれば、スマホを操作することは交通違反には当たりません。

 一方で、渋滞中のノロノロ運転の場合には、完全な停止状態ではなく徐行とみなされるため、スマホの使用は禁止。手に持っての操作だけでなく、2秒以上画面を注視することも、違反の対象となります。

●左折時はどこまで左に寄ればいい?

 道路交通法第34条では「車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない」となっていますが、いったいどこまで左側に寄るのが正解なのでしょうか。

 教習所では、左折時の幅寄せはあくまでも巻き込みによる事故を防止する手段のひとつとして指導されます。そのため、交差点の30m手前まで来ると、後続車に対して「左に曲がる」意思を伝えるためにウインカーを出し、左後方からバイクや自転車などが来ていないかをサイドミラーで確認した上で、車線の左側に寄って減速をはじめます。

サイドミラーで後方を確認するイメージ
サイドミラーで後方を確認するイメージ

 そのため、幅寄せの目安はバイクや自転車がクルマの左側を通過しにくくなる距離です。道路状況にもよりますが、路肩とクルマの距離が1mほどとなる程度が、巻き込み事故を防ぐ観点からも、適切といえるでしょう。

●パッシングはどんな時に使う? 法律はあるの?

 パッシングは走行中のクルマがヘッドライトを素早く点滅させて、前方を走るクルマや対向車などにさまざまな合図を送る方法です。

 法律での決まりはないものの、「対向車に道を譲ってあげたい時」や、「対向車のヘッドライトがハイビームで眩しすぎることを伝える場合」など、ドライバー同士の大切なコミュニケーション手段でもあります。

 一方で、地域によってパッシングの示す意味が違っていたり、あおり運転と受け取られる場合もあるので、相手側のドライバーとのアイコンタクトなど、表情をキチンと読み取ることも重要です。

 道路交通法第52条第2項では、「車両等が、夜間、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等操作しなければならない」と規定されています。

 そのため、前車の直後を走行する際に走行用前照灯(ハイビーム)を点灯したまま走行すれば、「妨害運転」となる可能性も大いにあり得ます。
 
 しかし、パッシングはハザードとともに、ドライバー同士のコミュニケーションツールとして使われることが多いため、「パッシング=違反」となることはありません。

 一方で、走行用前照灯の照射時間が長い、もしくは繰り返し執拗にパッシングをすれば、ハイビームと同様に「妨害運転」となることもあるので、パッシングを使うタイミングや使い方には十分注意しましょう。

※ ※ ※

「ダメなのは分かっているけど、いったいどこまでなら大丈夫?」交通ルールには、そういった曖昧になりやすいルールが多数存在します。

 安全に運転をするために、あらかじめキッチリとルールを把握しておくことは大切ですが、不安を感じた際は、改めて正確なルールを確認するようにすることが大切です。

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Writer: くるまのニュース編集部

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