アウディの旗艦モデル「A8」に設定された“魔法の乗り心地”を生む機能とは
コーナリングでもロールのない走りを実現する
ダッシュボードのモニター画面で、MENU→車両からアクティブサスを選択し、左上のギアマークをタッチする。そうすると「前方の道路:車高修正」の下に「オフ」「弱」「強」の3つのマスが出てくるので、そこから選ぶ。その下の段には「水平維持」があり、その右側にチェック用のスライドスイッチ(の絵)が出てくる。これを右にすれば、ロールなしでのドライブが可能になる。
クルマがいつもフラットに走ることができるというのは、ひとつの理想型なのかもしれない。乗り心地に関しても、ハンドリングに関しても良いはず、と思われてきた。それがいま、A8で実現したのだ。
これは、どんなフィールなのか?
結果を言ってしまうと、運転する立場か、後席に乗る立場かによって異なるというのが筆者の感想だ。
これは別名「ショーファーモード」というらしい。後席に乗る人にとっては、いつもフラットな状態で乗れるから快適なのだ。コーナリングでも、その半径の遠心力は感じるものの、クルマが傾いたぶんがないから身体は楽になるからだ。
一方、ハンドルを握るドライバーはどうかというと、これは運転していてかなりの違和感があった。
非日常、ということで、ある意味それを楽しむこともできるかもしれないが、ハンドリングは自然な感触ではない。ハンドルの手応え(操舵力)の変化は大きく、カーブに入りロールを抑えるタイミングで、ググッと重くなるのを感じるからだ。
* * *
それにしてもその反応の素早さには驚かされる。油圧ではこうはいかない。瞬時に反応するのは電動モーターの威力だ。それも48Vシステムを使っているからできることだ。
筆者がA8の後席に乗るなら、ぜひ「ショーファーモード」で走ってもらうだろう。でも自分で運転するなら「ショーファーモード」は使わない。
アウディの技術による先進はこれからも続く。今回のプレディクティブ・アクティブ・サスペンションも、さらなる熟成を重ねてドライビングに違和感がなくなれば、将来はほとんどの高級車に採用されていくはずだ。
Audi A8 60 TFSI quattro
・車両価格(消費税込):1552万円
・オプション込試乗車合計価格:1985万円
・全長:5170mm
・全幅:1945mm
・全高:1470mm
・ホイールベース:3000mm
・車両重量:2110kg
・エンジン形式:V型8気筒DOHCターボ
・排気量:3996cc
・駆動方式:4WD
・変速機:8速ティプトロニック(AT)
・最高出力:460ps/5500rpm
・最大トルク:660Nm/1800-4500rpm
・ブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク
・タイヤ前後:265/40R20
・JC08モード燃費:8.7km/L
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。