三菱のディーゼル車が絶滅の危機? 「エクリプスクロス」がPHEVに特化する狙いとは
同じディーゼルエンジンを搭載する「デリカD:5」はどうなる?
エクリプスクロスの国内登録台数は、コロナ禍の影響を受けていない2019年の時点で、1か月平均が652台でした。
同社のミニバン「デリカD:5」の1674台に比べると40%以下ですから、多額のコストを費やしにくい事情もあります。そこでディーゼル車を廃止して、PHEVと価格の割安な1.5リッターターボに整理するというわけです。
エクリプスクロスのディーゼル車廃止について、販売店は以下のようにコメントしています。
「エクリプスクロスは、最初はガソリンターボのみで発売されました。そのために追加されたディーゼル車は、お客さまにあまり認知されていませんでした。そのため売れ行きが伸びず、PHEVと入れ替えに廃止されています。
それでも三菱には、パジェロの時代から、ディーゼルのSUVを好むお客さまがいます。いまはパジェロも廃止され、ディーゼルのSUVはエクリプスクロスのみだったので、廃止は残念です。
そうなると、エクリプスクロスが廃止したのと同型の2.2リッターディーゼルを搭載するデリカ:5も心配です。デリカD:5は人気車なので、大切に造り続けて欲しいです」
三菱によると、デリカD:5のディーゼルは、今後も安定的にラインナップを続けるそうです。
それにしても三菱では、既に新しいディーゼルエンジンを開発していません。
ディーゼルはターボを組み合わせることで実用回転域の駆動力が高く、燃費効率も優れているので、車両重量の重いSUVにはピッタリです。
排出ガスに関して課題を抱えていますが、廃止するのは惜しいエンジン技術です。さらに価格の違いもあります。
新型エクリプスクロスは安全装備なども進化しているので、従来型のディーゼル車と単純には比較できませんが、もっとも価格差の少ないベーシックなM同士で比べても、ディーゼル車が311万8500円だったのに対し、PHEVは384万8900円と、ディーゼル車に比べて約73万円高いです。
ディーゼル車は、高い動力性能と低燃費を両立させながら価格を割安に抑え、中級のGは約330万円でした。
この価格は、2リッターのノーマルガソリンエンジンを搭載するトヨタ「RAV4 アドベンチャー(4WD)」や日産「エクストレイル 20Xi Vセレクション(4WD)」などとほぼ同じ。
つまりエクリプスクロスであれば、ライバル車の2リッターノーマルガソリンエンジンと同じ価格帯で、ディーゼル車を購入できたのです。
効果的な訴求をおこなえば、販売比率が35%だった発売当初の人気を維持できたと思われます。
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PHEVは魅力的なパワーユニットですが、これほど幅広いパワートレーンを選べる国産車はほかに存在しません。
クルマ好きとしては、クリーンディーゼルターボとガソリンターボ、PHEVを選べるエクリプスクロスであって欲しかったです。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
あ〜ディーゼルとステップATの相性を削ぐとはバカな会社だ、認知度を高めるのが三菱の仕事だろ。
益子氏と然程変わらんじゃないかよ、PHVと言えど一度エンジンが始動すれば臭いガソリン車だろが、何でEクラスみたいにディーゼルPHVをやらないの?