一般道も合格! ランドローバー「ディフェンダー」の未来はいかに?
「ディフェンダー」は長いライフサイクルを見越している!?
1948年4月30日開幕のアムステルダム・ショーにて発表された元祖ランドローバーは、もともと「あらゆる作業に適応する農民の従僕」というコンセプトのもとに開発されたという。また、定置型の動力源としても使えるように考慮されていたことも併せて、農業用トラクターとしての使用も見越していたともいわれている。
●新しいディフェンダー像の構築
そして、元来の会社名「ローバー」に引っ掛けて名付けられた「ランドローバー(大地を征服する者)」のネーミングに相応しく、元祖ランドローバーとその進化・改名版である初代ディフェンダーの活躍するフィールドは、イングランドやウェールズの農園から全世界へと拡大。厳しい自然環境にも立ち向かい、カントリーサイドでの仕事や日常生活、ひいてはスポーツや趣味のためのツールという本分をまっとうしてきた。
英国製クラシックカーを愛してやまない筆者は、そんな元祖ランドローバーと初代ディフェンダーには、ひとかたならぬ憧れを抱いてきた。
しかし、これまで複数の旧き良きランドローバーたちを運転してきた経験からすると、元祖ランドローバーはもちろんのこと、数年前に生産を終えたばかりの旧ディフェンダーであっても、現在の路上で乗るには「日常のツール」というよりは、クルマそのものを楽しむことが主な目的となる「エンスー車」としての要素が強いといわざるを得ないのだ。
新型ディフェンダーが2019年に初公開されて以来、旧き良き先代とは大きく変貌したスタイリングや、モノコック化されたフレームに異論が続出したようだが、筆者はディフェンダーの変節を支持したいと考えている。
車体、とくに全幅が大型化したことも、ディフェンダーというクルマが誕生以来70年以上にわたって金科玉条としてきた、ツールとしての実用性を追求したゆえの決意と思われる。
そしてアルミ製モノコックの採用については、「ディフェンダー」の名を冠するモデルは長寿であらねばならないと宿命づけられた、ひとつの答えであると推察している。
元祖ランドローバー+初代ディフェンダーのごとく、限定ファイナルモデルを合わせれば、実に70年もの長命を維持するなんてことはさすがに困難だろうが、おそらくはこの新型ディフェンダーも一般的なクルマたちに比べれば、かなり長いライフサイクルを想定しているに違いあるまい。
その傍ら、英国政府は2030年から内燃機関単体を動力源とする乗用車の販売を実質的に認めない方針を打ち出しているという。また、ランドローバー社が主なマーケットと見なしている世界の国々も、早かれ遅かれ同様の政策に舵を取る可能性が高いと目されている。
新型ディフェンダーが2030年代以降の生産継続を視野に入れているならば、プラグイン式を含むハイブリッドとなるのか、あるいはフルBEVまで乗り出すか否かは現状では未知数ながら、いずれにしても電動化の波に背を向けることはできないだろう。
そのためには、大容量のバッテリーを搭載するスペース効率を追求することが必須条件であり、古典的なラダーフレームは開発の初期段階から除外されていたと思われるのだ。
加えてソフトになったエクステリアのデザインも、近未来に向けた新しいディフェンダー像を構築しようとする、ランドローバー社の強い意志の表れと感じられた。
時代とマーケットの要請に応えて姿かたちこそ変われども、「あらゆる作業に適応する農民の従僕」から発展したディフェンダーの哲学は不変。それが、筆者の偽らざる結論なのである。
●LAND ROVER DERENDER 110 S
ランドローバー・ディフェンダー110 S
・車両価格(消費税込):692万円
・全長:5018mm(スペアタイヤ含む)
・全幅:2105mm
・全高:1967mm
・ホイールベース:3022mm
・車両重量:2186kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボチャージャー
・排気量:1997cc
・エンジン配置:フロント横置き
・駆動方式:四輪駆動
・変速機:8速AT
・最高出力:300ps/5500rpm
・最大トルク:400Nm/1500-4000rpm
・0-100km/h:8.1秒
・最高速度:191km/h
・燃料タンク容量:88.5リッター
・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)255/60R20、(後)255/60R20
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