一般道も合格! ランドローバー「ディフェンダー」の未来はいかに?

いまホットなSUVであるランドローバー「ディフェンダー」の一般道と高速道路でのポテンシャルを、モータージャーナリスト武田公実氏が実感。新たなデザインも含め、ディフェンダーの未来を予想する。

公道で快適さを手に入れた「ディフェンダー」

 2019年9月のフランクフルト・ショーにてデビューし、日本でもオーダー受付がスタートした直後から大ヒットを博している、ランドローバー2代目「ディフェンダー」。

 歴代のランドローバー各モデルにとっては「ホームグランド」というべき、オフロードでのテストドライブにおいて卓越した走破力とパフォーマンスを示したことは、すでにVAGUEでもすでにレポート済みである。

 今回は、現代における都市生活者の使用状況に近いかたち、つまりアスファルト舗装された一般道と高速道路で、新型ディフェンダーを試してみることにした。

●圧倒的な快適さを身につけたディフェンダー

実用車の極みであるディフェンダーであるが、シャシの出来ばえも上々で、高速クルージングも快適至極だ
実用車の極みであるディフェンダーであるが、シャシの出来ばえも上々で、高速クルージングも快適至極だ

 テストドライブの拠点である、横浜みなとみらいのホテル駐車場で初めて目にしたディフェンダーは、ちょっと気おくれしてしまうほどの雄大さを見せつけてきた。

 4945mm×1995mmの全長×全幅もさることながら、特に1970mmという全高がランドローバー・ディフェンダーであることを誇示しているかにも感じられる。

 したがって、乗り込む際には「ヨイショッ」と(小声で)気合いを入れてしまうのだが、ひとたびシートに収まってしまえば、ランドローバーが「コマンダーポジション」と自認する高い着座位置から周囲を見渡すことは容易。狭い場所での取り回しも、ボディサイズを思えば非常に優れている。

 そして一般道に向けてスタートした瞬間から、新型ディフェンダーが当代最新のSUVとしての資質をパーフェクトに備えていることを思い知らされることになったのだ。

 今回の試乗車は、ロングホイールベース/4ドア版の「110」に、直列4気筒ガソリンターボエンジンを搭載した「P300」。排気量だけを取り上げれば、1950年代の元祖ランドローバー「シリーズ1」と変わらないもの。

 ところが約2.3tにおよぶヘビー級の車体を、まるでコンパクトカーのように軽々と、しかも排気音を荒げることもなく粛々と加速させる。

 P300というネーミングが示すように、300psという大排気量スポーツカーはだしのパワーを標榜するものの、そのトルクフィールやレスポンス、サウンドはかなり実直な印象が強く、実用車の極みであるディフェンダーのキャラクターにはよく似合っているかに感じる。

 またシャシの出来ばえも上々で、当代最新のクロスカントリーカー/SUVでは当たり前のことかもしれないが、街中で舗装の荒れたところを通過しても、まるで何ごともなかったかのごとくスムーズに進んでゆく。

 そして高速道路に乗り、クルージングでの快適至極な走りに身を委ねることで、新型ディフェンダーは長距離ツアラーとしての優れた資質も見せてくれることになった。

 110系に標準装備されるエアサスペンションの効力だろうか、高速クルージングにおいては矢のようなスタビリティを披露する。また、ブロックの大きなオールシーズンタイヤを履いているにもかかわらず、乗り心地やロードノイズの点でも非常に秀逸。シートの座り心地の良さも相まって、長距離・長時間のツーリングも悠々とこなすだろう。

 この日筆者が乗ったのは、3グレードのうち真ん中のグレードである「S」にインフォテイメント系や安全運転支援システムなどのオプションを満載した1台。ACC(アダプティブクルーズコントロール)やレーンキーピングなどのアシストも装備し、ドライバーの負担を最小限に抑えてくれる。

 その一方で先代ディフェンダーは、たとえ最終期のモデルであっても、過大なノイズと振動、あるいは前時代的なスタビリティの低さも、ある種の「個性」として受容しなければならない。

 仕事や遊びの場に到着するまで、あるいは帰宅する際にも、行程のほとんどはアスファルトの道路を走行することがデフォルトとなっている現代においては、ディフェンダーの身上であるツール(道具)としての能力は、新型が圧倒的に勝っていることを認めるべきと思われたのである。

【画像】ディフェンダーのシートアレンジをチェック(15枚)

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