コロナ禍でも絶好調の「シトロエン」 7人乗りミニバンにある唯一無二の魅力とは
まさに“空飛ぶじゅうたん”のような乗り心地
おとなしい外観とは一転、乗り込むと室内はほかのミニバンにはない雰囲気に包まれる。
室内がとにかく、明るい。運転席に座ると、フロントガラスが頭上まで広がる「スーパーパノラミックフロントウインドウ」で、まるでオープンカーにでも乗っているような気分になる。
この開放感は、世界で唯一無二のミニバンだと思う。飛び石でフロントガラス交換、なんてことまで考えるとちょっと不安にもなるが、この心地よさには代えられない。
ダッシュボードの中央上部にはフルデジタルの12インチデジタルメーター、下部には7インチタッチスクリーンを備えた前衛的なインパネは、日本上陸から6年が経ったいまでも少しも色褪せない。
スタートボタンを押しエンジン始動、ステアリングコラムから生えている細いセレクターレバーを右指先でDにして走り出す。
初代C4ピカソは、リアのみエアサスを使っていた。このグランドC4スペースツアラーは前後ともにメカニカルなコイル/ダンパーだが、シトロエンらしいフワッとした乗り心地は健在だ。どうやってこの味を表現しているのか不思議でならないが、目をつぶって乗っても、シトロエン車だとわかるオリジナリティがある(当然、実際には目をつぶって運転はしないが)。
2リッターディーゼルエンジンも低回転から力強いトルクを発生するから、運転がしやすい。400Nmの最大トルクというスペックほどは、強大なトルク感というフィールはなく、どちらかといえば紳士的な印象になる。ディーゼル特有のガラガラ音は室内には届いてこない。
全高は1670mmあるし、広いガラスルーフを持つから、重心高はそれなりに高いはずだ。にもかかわらず、コーナリングではしっとり滑らかにクリアしていく。ロール感はそれなりにあるのだが、それでも接地感は変わらず、フラットにぺっとりと小気味良い走りができる。
ADAS(先進運転支援システム)も充実している。ブレーキサポート付きのアクティブクルーズコントロールやレーンキープアシスト、ディスタンスアラートなど、ひと通りの機能は標準装備されている。
ここら辺、ひと昔前のフランス車は我慢しなければならなかったが、最近ではこのグランドC4スペースツアラーだけでなく、ベルランゴにもC5エアクロスにもきちんと搭載されているから、安心してシトロエンモデルを選んでいい。高速道路走行での安心感は、ADAS搭載前とはまったく異なるはずだ。
室内は全体的に高級感に溢れている。フロントシートは大ぶりなのにきちんとホールドし、長距離を走っても疲れないもの。マッサージ機能も標準で付く。
2列目シートは3座独立して前後スライド、そしてリクライニングが可能だ。3列目シートは小ぶりだが、それでも2列目をちょっと前にスライドすれば大人も十分に座れる。その3列目シートは、使わないときには床下に完全に収納できるのもまたいい。
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日本でミニバンというと、後席スライドドアのモデルが一般的で、後席スイングドアのミニバンは苦戦しているのも事実だ。
だがこのグランドC4スペースツアラーには、アル・ヴェルとはまた違う高級感や、ノア・ヴォクにはない優れた乗り心地がある。さらに唯一無二の開放感もある。
これ、「カーライフを豊かにさせるミニバン」と言い切ってもいいかもしれない。隣の家族とは違う選択肢があってもいい。たぶん、後悔することはない。
CITROEN GRAND C4 SPECETOURER SHINE Blue HDi
・車両価格:420万円
・試乗車オプション込み価格:456万8060円
・全長:4605mm
・全幅:1825mm
・全高:1670mm
・ホイールベース:2840mm
・車両重量:1660kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
・排気量:1997cc
・駆動方式:FF
・変速機:8速AT
・最高出力:163ps/3750rpm
・最大トルク:400Nm/2000rpm
・ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
・タイヤ前後:205/55R17
・WLTC燃費:16.3km/L
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