トヨタ新型「ミライ」はエコなだけじゃない! 新型モデルはどう進化?
水素タンク増量で航続距離が1.3倍延長
従来モデルに搭載された燃料電池システム「トヨタフューエルセルシステム(TFCS)」がさらに進化し、新型ミライには第2世代のTFCSが採用されました。
燃料電池車であるミライは、燃料タンクの代わりに、水素タンクを搭載しています。
FCシステムはレイアウトを一新。航続距離延長のため、これまでは2本だった高圧水素タンクを3本へ変更し、タンクの内の1本は居住性を確保するためにボディ中央を貫くように縦に設置されました。
また、FCスタックを中心としたパワーユニットは従来モデルでは床下に配置されていましたが、新型ミライでは小型化してフロント部へ移動しています。
一回の水素充填による航続距離は、従来モデルの約650キロから、新型ミライでは約850キロへと1.3倍延長され、より遠くまで走行できるようになりました。
搭載される駆動用モーターの最高出力は、従来モデルの154馬力から182馬力へと向上。高出力・高効率を実現したほか、減速時は発電機として、電力を駆動用バッテリーへ回収します。
さらに、新型ミライは、走行中のCO2排出をゼロにする「ゼロエミッション」だけではなく、発電のために吸い込んだ空気を特殊フィルターできれいにして排出する「マイナスエミッション」を実現。走れば走るほど、空気がクリーンになるとされています。
走行性能においては、新型ミライはトヨタ最上級のセダンを目指して開発されました。
走り出した瞬間から振動や騒音のない上質な乗り心地と静粛性を実現。その一方、気持ちよく加速し、高速道路などでは安定した巡行や、ワインディング路でも思い通りに走れるという、二面性のある走りを可能にしているといいます。
安全装備については、従来モデルにも「トヨタセーフティセンス」が搭載されていましたが、新型ミライではさらに進化した、次世代トヨタセーフティセンスが搭載されました。
プリクラッシュセーフティ(衝突被害軽減ブレーキ)は対歩行者と対自転車運転者で約10km/hから約80km/hまで、対車両は約10km/hから約180km/hまでで動作します。
また新型「ヤリス」に搭載されて注目された駐車支援システム「アドバンスドパーク」も搭載。並列駐車や縦列駐車、区画線のないスペースへの駐車(メモリ機能)に対応し、ベテランドライバーでも納得できるスピード感を実現したということです。
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新型ミライの価格については現時点では明らかになっていませんが、700万円台から800万円台になると予想されており、2020年12月に発売されます。
FCVの補助金などを含めると、内燃機関を持つ高級セダンとあまり変わらない価格で購入できる可能性もあるようです。
その一方で、水素ステーションの拡充が課題とされています。
2020年7月現在、全国で157基の水素ステーションが開業または準備中となっており、数が足りているとはいえない状況です。
なお経済産業省は、2020年度までに160基程度、2025年までに320基程度の水素ステーションを整備することを目標とし、今後も増えていく計画です。
FCVにとって重要なインフラである水素ステーションが全国に不足なく整備されることが、ミライ普及のカギを握っているといえます。
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