「日本経済をけん引する」 トヨタが1.4兆円の黒字予想! 厄災克服した豊田社長の手腕とは

トヨタは2020年11月6日に2021年3月期第2四半期決算説明会をオンラインで開催しました。新型コロナ禍にも関わらず、直近の3か月の世界販売台数は対前年比93%まで回復し、2021年3月の決算予想も1兆4200億円にまで伸びたといいますが、好調な業績を記録した要因とはいったいなんでしょうか。

新型コロナの影響からトヨタが早くも脱却か?

 トヨタが最新の決算説明会を2020年11月6日におこないました(2021年度の上半期)。状況は良くなっているという事前の情報もありましたが、発表された数字を見てさらに驚きました。

 直近の3か月で世界販売台数は対前年比93%まで回復しており(中国は20%以上増加!)、2021年3月の決算予想も7300億円の黒字から大幅に向上し1兆4200億円になっています。

2020年11月6日におこなわれたトヨタの2021年3月期第2四半期決算説明会で発言する豊田章男社長
2020年11月6日におこなわれたトヨタの2021年3月期第2四半期決算説明会で発言する豊田章男社長

 記者会見で判明したのだけれど、9月など北米は前年同月比108%。欧州も同120%と好調に推移し、部品調達が間に合わないほどになっているという。株主配当は通常の100円をキープしたうえで、さらに特別配当の5円を追加。

 そのほか、研究開発費も設備投資も前年規模をキープ。大きく販売が落ち込んだ4月から6月の頃から好転しています。

 以下、少し詳しく紹介したい。5月におこなわれた2020年3月期の決算発表は、実質的に新型コロナと関係無い数字といってよい。中国のロックダウンも限られた地域に留まっており、アメリカとヨーロッパ、日本は感染が拡大していなかったからです。

 2020年3月期の決算で赤字や厳しい数字となったメーカーは、新型コロナ禍が無くても同じだったと思います。

 また、新型コロナ禍の影響出る2021年3月期の「決算予想」については、多くの企業が予測不能ということで見込み数字を出しませんでした。

 そんななか、トヨタは厳しさを折り込みながら「決算予想」を出したところ、人の不幸が大好きな大手メディアは「トヨタ8割減益!」と大きく報じる。そんなに嬉しいことなのか?

 ほかのメーカーは数字を出すと誰かが責任を背負わなくちゃならないため答えを濁した一方、トヨタは新型コロナ禍のなかでも経済活動を維持出来るよう、努力目標という意味も含めて数字を出したら、トヨタだけ叩かれることになってしまったのでした。

 新型コロナ禍は100年に1度クラスの厄災。赤字を出さないだけで100点だったと思います。

 厳しい状況のなか、新型コロナの感染者が減り始め、自粛解除になった6月から新型「ハリアー」や「RAV4 PHV」の試乗会を開催するなど、トヨタは動き始めました。

 豊田章男社長の「経済を引っ張っていくのは自動車業界」という考え方を実戦。その後も「ヤリスクロス」や「GRヤリス」など新型車を発表し、ディーラーも感染防止策をおこないながら積極的に動いています。

 同じ時期、ほかのメーカーを見ると、動きは鈍かった。自粛明けしているのにイベントは軒並み中止。メディア向け試乗会なども中止。

 もっといえば、現在でも試乗会のときに問診票を掲出させるメーカーがあるほど。そんなもの書いたって感染を防げない。なにかあった際、担当者が「しっかりやってます」という責任逃れをするためだけの対策です。

 おそらくトヨタは世界中で積極的に動いたんだと思います。その結果が2021年度上半期の数字に出たということ。9月は過去最高の販売台数を記録。中国など6か月連続して前年比を超えているし、日本だってハリアーもヤリスクロスも長い納期になっています。

 文頭の通り工場も系列の部品メーカーだってフル操業体制。経済を回している効果は大きいです。

 もちろん今後楽観出来るワケでもない。アメリカや欧州は新型コロナの第2波に見舞われており、ロックダウンされる都市も出てきた。依然として経済環境だってどうなるか読みにくいです。

 ただトヨタについていえば、売れそうな新型車をしっかり出せています。今年になって発売された新型車の成功率を見ると極めて高い。ライバルに対する強さになっています。

 記者会見の後半に登壇した豊田章男社長は「自動車が日本経済のけん引役になろうという目標を立てました。同時にお客さまや作る側、売る側まで含めた幸せを量産することを大切に考えたいと思います」とコメントしています。

 直近の流れを見ていると、社長の意思がしっかり業績に表れていると考えます。ほかの自動車メーカーも得意分野を伸ばして日本を引っ張って欲しい。

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Writer: 国沢光宏

Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。

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コメント

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4件のコメント

  1. 本当にその通りです。
    章男社長の老夫婦とロバの話もその通りで、マスコミの見識の浅はかさ、狭さを感じました。
    章男社長が就任から方針を立てて、それが製品や販促にまで伝わってこの状況ですから、いまから他メーカーの社長が動き出したとしても、消費者からみて変化を感じるのはまだまだ先です。それまで各メーカー持ち堪えてくれればいいのですが。。
    サラリーマン社長にはリスクを負いきれないのでそもそも難しいのですかね。

  2. 他人の不幸は蜜の味ですか?そんなのメディアに限った話じゃないです。
    他人の不幸で自分の不幸を緩和するのとは違ってメディアは画にする為ですね。
    その画が数字を押し上げるのは他人の不幸で自分の不幸を緩和できるからです。
    TOYOTAを崇め奉るモータージャーナリストも何処か似てますね、3分クッキングは食材と完成品だけで調理のカットには乏しいですが平然と料理番組として成り立ってますね
    WRCも大破した足回りを30分でレースに復帰させるメカニックのチームプレー、あれ視て動画でも1人で拍手しました。
    モータージャーナリストがあまり脇役を取材しないのはメディアの画取りと同じで画にならないからなんでしょうかね?
    他人の不幸が好きとか?水木しげるの世界ですねw

    • ホンマやなセンチュリーと知事叩きはメディアに同調したに

  3. ブラック企業トヨタのブラック労働の成果です(笑)

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