セダン復活の鍵は高級感!? 「アバロン」「シルフィ」「シビック」 日中米で異なる事情とは

日本ではセダン人気が低迷しているといわれていますが、北米や中国のセダン市場はそれぞれ独自の事情を抱えているようです。世界的にコンパクトモデルやSUVの需要が高まるなかで、セダンが生き残るには何が必要なのでしょうか。

日中米で異なる「セダンの人気」 どのような違いがあるのか。

 1980年代から1990年代は、「セダン」が輝いていた時代といえます。セダンをベースに派生モデルとなるクーペやステーションワゴンが誕生するなど、中心的存在はセダンでした。
 
 しかし、2000年以降の日本市場では「セダン人気の低下」が叫ばれ、かつて売れ筋だったセダンが軒並み販売台数を落としていますが、一方で北米市場や中国市場ではまだまだセダン人気は高いままです。なぜこのような差が生まれたのでしょうか。

日本でも話題性の高いトヨタ「アバロン」。当初は北米市場がメインだったが、2018年から中国市場にも投入されている
日本でも話題性の高いトヨタ「アバロン」。当初は北米市場がメインだったが、2018年から中国市場にも投入されている

 現在、日本の新車市場では、約4割を軽自動車が占めているといいます。これは、日本の道路事情に合わせた独自規格のなかで、走行・燃費・安全といったさまざまな性能が年々進化したことや、普通車よりも車両価格や維持費が安価に抑えられることもあり、人気を博しているのです。

 また、5ナンバーサイズのコンパクトカーや多人数乗車とウリとするミニバン、背が高く走破性の高いSUVなどが残りの新車販売シェアを奪い合っています。

 これらの影響もあり、セダンの人気かつ販売台数が年々落ちているのです。

 一方の北米市場は以前からセダンは高い推移で人気を維持していました。そのため、トヨタでは「アバロン」「カムリ」、日産では「ヴァーサ」「セントラ」「アルティマ」「マキシマ」、ホンダは「シビック」「アコード」などが好調な販売台数を見せていました。
 最近でも、マキシマは2021年モデルが投入されるのと同時に北米市場での40周年を記念する特別なモデルも設定されるなど、セダンが長く愛されていることがわかります。

 しかし、昨今の北米市場では日本と同様にSUVやピックアップトラックの需要が急激に高まっており、その影響が出た結果としてセダンラインナップの整理や廃止を打ち出すメーカーが出てきているのです。

 なかでも、GM、FCA、フォードはセダンの生産中止を決めており、今後は前述のとおりSUVやピックアップトラックの開発や生産に注力していくとしています。

 それでも日本メーカーなどでは、現在もセダンが堅調に売れていることもあり、今後の動向が注視されます。

 そして、日本や北米と違ってセダン需要が現在も急激に増え続けているのが世界最大級の自動車市場となる中国です。

 日本自動車工業会が公表する主要国の四輪車販売台数において、乗用車の販売台数順位は1位が中国、2位がアメリカは変わらずですが、中国は2144万4180台、アメリカは471万5005台、日本は430万1091台となっており、中国とは1500万台以上の差があります。

 その中国市場において、セダンは高い人気を誇っておりトヨタ「カローラ」やホンダ「シビック」、「アコード」といった日本でも馴染みのあるモデルが人気です。

 なかでも、絶大な人気を誇っているのが2019年にフルモデルチェンジした日産「シルフィ」となり、2019年の年間販売台数では46万2671台を記録しました。

 中国市場でセダンが人気の背景について、日産の担当者は次のように説明します。

「中国のユーザーが重視する後席の広さや内装の高級感という要素がセダンには組み込まれています。

 さらに、日本メーカーのモデルは『装備が充実しているのに値段が安い』『日本のブランドゆえ信頼できる』ということで支持されています。

 また、シルフィは2006年に中国市場への投入以来、中国の家族をターゲットとして、業界をリードする空間の快適性、燃料効率、信頼性でニーズを満たしています。

 それらのマーケティングによってシルフィのコアアドバンテージを強調することで、中国の家族層においてユニークな製品の位置づけを確立しました。

 これらの理由から、シルフィは中国での自動車市場の激しい競争のなかで支持いただいております」

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