車はアップデートする時代!? マツダ「スカイアクティブX」が進化したワケ

マツダOSバージョンアップ!? 何がどう変わったのか。

 スカイアクティブXは発進時の応答性の良さは「ディーゼル」、常用域のフラットなトルク感は「ライトプレッシャーターボ」。

 そしてレッドゾーンまでスッキリ綺麗に吹け上がる感じは「ガソリンNA」と、さまざまなエンジンの長所がシームレスに融合している所が特長ですが、SPIRIT1.1はその特徴がより解りやすくなったように感じました。

 具体的にいうと、アクセルを踏んだ時の「瞬発力」と「レスポンス」が増しています。現行モデルも決して悪くはありませんが、SPIRIT1.1に乗ると眠そうだったエンジンがシャキッと目覚めたような違いです。

 スペックは前述のとおり180馬力/224Nm→190馬力/240Nm(社内測定値)に引き上げられていますが、常用域(2000rpm-3000rpm)のトルクは数値以上の差を感じました。

 今回はETCレーンを模したシーン(20km/hから加速)、高速道路の合流を模したシーン(30km/h→70km/hの加速)、高速道路の坂道での加速を模したシーン(70km/hからの加速)などを体感しましたが、SPIRIT1.1は明らかに少ないアクセル開度で同じように走れます。

 MTは現行モデルでは躊躇せずシフトダウンするシーンでもSPIRIT1.1だとシフトキープのままでOK、ATはビジーシフトが影を潜めました。

 筆者はマツダのATの多段化は必須だといい続けてきましたが、SPIRIT1.1ならガマンできるかも。

 燃費は認可前なので具体的な数値は公表されませんでしたが、同条件で簡易計測してみるとMT/AT共にSPIRIT1.1のほうがいい値(現行モデル+1.0km/L-1.5km/L程度)を示していることを確認できました。

 これらを総合的に評価すると、SPIRIT1.1は実用エンジンがスポーティエンジンになったような変化です。

 恐らく現行モデルはスカイアクティブX初導入ということで耐久性/信頼性を重視するために多くのマージンが取られていました。

 しかし、SPIRIT1.1はより使いこなせるようになった印象で、結果として本来目指していた性能に一歩近づいたのではないかと思っています。まさにロータリーエンジンのときと同じように「進化し続ける」わけです。

 このSPRIT1.1は現行モデルへの無償アップデートも検討中だそうです。これは海の物とも山の物ともつかないスカイアクティブXの可能性を信じて購入してくれた最初のユーザーに対する「感謝の気持ち」といってもいいかもしれません。

「SKYACTIV-X」をバージョンアップを実施
「SKYACTIV-X」をバージョンアップを実施

 ただ、残念なのは今回も視覚的な変化がほとんどないことです。ちなみにSPIRIT1.1であることが解るのはフロントフェンダー左右に追加された「SKYACTIV X」エンブレムとリアの「e SKYACTIV X」エンブレムのみと、またしても間違い探しレベルです。

 何度もいいますが、個人的には世界初の圧縮着火エンジン搭載車を所有する喜びが感じられる「プラスα」はシッカリ与えるべきだと思っています。

 例えばディーラーオプションの「シグネチャースタイル」のような無駄を省いたエクステリアに、あえて無駄をプラスさせる空力デバイスや専用デザインのアルミホイール、インテリアの質の良さを損なわずに高揚感を高める専用素材(例えば滑りにくい素材でホールド性を上げるなど)。

 さらに世界の一流ブランドを効果的に使うなどなど、マツダ3のトップモデルであることをもっと主張すべきです。ユーザーはパワーユニットを買うのではなく、クルマを買うわけですから。

 実は今回はパワートレインの変更のみと聞いていますが、実際に走らせるとシャシも変わっているように感じました。

 具体的にはシッカリ感が増したステア系、鼻先の重さを感じさせない回頭性、姿勢変化を抑えながらもしなやかさを持った足さばき、ギャップを乗り越えたときのおさまりの良さ、より積極的に動かす方向のリアなど、エンジン同様にシャキッと目覚めたハンドリングに変化していました。果たしてこれは個体差なのでしょうか。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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