なぜ北朝鮮にハイエースが存在!? 中国ではルノー日産がハイエースを販売 トヨタも仰天な事情
世界中で人気なトヨタ「ハイエース」。実は中国や北朝鮮ではさまざまなハイエースが展開されているといいます。
なぜ北朝鮮で「ハイエース」が販売中!? グレーゾーンな事情とは
世界中で人気を博すトヨタの人気商用バン「ハイエース」ですが、それは北朝鮮でも例外ではありません。
また、中国ではルノー日産グループがトヨタの正規版「ハイエース」を販売しているといいます。
中国には、ハイエースの正規ライセンス生産車を販売する金杯(きんぱい)というブランドが存在します。
金杯(きんぱい)とは、2017年に日産とアライアンスグループ関係にあるルノーと華晨汽車(かしんきしゃ)という会社が合弁で設立した華晨雷諾金杯汽車(かしんるのーきしゃ)という会社が展開しています。
しかし、金杯(きんぱい)ブランド自体はそれ以前から存在しており、1990年頃からトヨタが生産技術を供与して生産されているのが、中国版ハイエースの「海獅(かいし)」です。
また、日本ではトヨタ「グランエース」として販売されるモデルは、東南アジアなどでトヨタ「グランビア」として展開していますが、金杯(きんぱい)ブランドでは「閣瑞斯(かくずいし)」という名前で生産・販売をおこなっています。
そんななか、金杯(きんぱい)は2020年9月に新型モデルを発表。そのモデルは、グランビアこと閣瑞斯(かくずいし)のボディを使用する「海獅王(かいしおう) 」です。
ルノーらしさがあるグリルが目を引きますが、フロント以外の部分はグランビアそのままのデザインを採用。ホイールベースやボディの外寸などもほぼ一緒です。
グレードは簡素な内装を持つベースグレードから、シックな黒の内装を持つ高級グレードなどが用意され、乗車定員も6座/7座/9座/10座とさまざまなニーズに対応する形で用意されています。
パワートレインは、グランビアが搭載していた5VZ-FE型や1KZ-TE型などではなく、中国で独自に開発された1TZS型の2リッター自然吸気エンジン(最高出力130馬力)を搭載。
金杯(きんぱい)は、閣瑞斯(かくずいし)の発表時に「ルノー・日産・三菱アライアンスによって確立された厳格な管理体制のもとで生産する」と説明しています。
つまりは、「日産の管理体制で生産された、ルノーの技術とデザインを持つ中国製の『トヨタ・グランビア』が誕生」という複雑な要素が重なりあっているモデルなのです。
一方で、北朝鮮でもハイエースは人気モデルとなっています。
北朝鮮で数少ない自動車メーカーのひとつである「平和自動車(ピョンファじどうしゃ)」が存在し、朝鮮半島の南北の距離である「三千里」を由来とする朝鮮そのものの愛称「サムチョンリ」という名前でハイエースタイプのモデルを北朝鮮内にて製造・販売しています。
北朝鮮内の情勢を伝えるニュース映像などにもたびたび登場し、北朝鮮人民の足としての用途のみならず、海外の報道陣たちの移動にも使用される機会が多く、さまざまなシーンにおいて活躍しています。
もっともよく見るタイプは、100系ハイエースの外観を持つモデルですが、これは中国で唯一、トヨタ自動車から正規にライセンスを取得して生産している華晨汽車(かしんきしゃ)という会社の金杯(きんばい)ブランドが展開するハイエースの正規ライセンスモデル「海獅(かいし)」のボディを流用する車両です。
前のロゴや後ろのハングルのエンブレム以外はほぼ一緒と見られ、乗用モデル以外にも救急車用モデルも生産しているようです。
最近では200系ハイエースの外観を持つモデルも確認されていますが、これは金龍汽車(きんりゅうきしゃ)という会社が製造するハイエースの違法コピーモデルのボディをそのまま使用しています。
ちなみに華晨汽車(かしんきしゃ)という会社も200系ハイエースの正規ライセンス生産をおこなっていますが、平和自動車(ピョンファじどうしゃ)がハイエース型の車種の供給元を華晨汽車(かしんきしゃ)から金龍汽車(きんりゅうきしゃ)に変えた理由は不明です。
また、金龍汽車(きんりゅうきしゃ)が展開するバス中心のブランド、「海格客車(ハイガーきゃくしゃ)」が生産するロングボディのハイエースのコピー車に海格(ハイガ)「H5C」も存在しています。
なお、北朝鮮の平和自動車(ピョンファじどうしゃ)のモデルは、「ポックギ(カッコウ)」「フィパラム(口笛)」「チュンマ(駿馬)」「ネナラ(我が祖国)」など、それぞれ象徴的な名前を冠するモデルファミリーのもと、車体ごとに固有のモデル番号が付与されています。
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