なぜトヨタは水素社会に注力? 新型ミライから電車まで幅広い活用法とは
最新の燃料電池車となる次期型「ミライ」は2020年12月登場か
トヨタにおける燃料電池技術の中心的存在となるのが、前述のミライです。
2014年12月に発売された現行ミライは、水素を空気中の酸素と化学反応させて発電した電気で走る燃料電池自動車として登場しました。
約3分という短い時間で水素を充填でき、航続距離も長い燃料電池自動車は、水素の利点として持ち運びや貯蔵が可能で、さまざまなものから製造できるため、将来の有望なエネルギーとして期待されており、それらが前述の大型電動トラックやハイブリッド車両(燃料電池)に繋がっています。
なお、次期型ミライは、公式ウェブサイト上で「2020年末ごろの発売を予定」をアナウンス。
すでに公開されている「ミライ コンセプト」のボディサイズは、全長4975mm(従来型比+85mm)×全幅1885mm(+70mm)×全高1470mm(-65mm)、ホイールベースは2920mm(+140mm)となり、全長と全幅は拡大しているものの全高を低くすることで、ロー&ワイドなスタイリングに刷新。なお、現行ミライは4人乗りですが、新型ミライでは5人乗りになりました。
走行性能面では、TNGAプラットフォームによる上質な乗り心地などの素性の良さに加え、燃料電池ならではの異次元の静粛性と剛性の高さを実現しています。
FCスタック(燃料電池システムの発電装置)やFCシステムを一新したことより、リニアで滑るような質の高い動き出しかつレスポンスの良い加速、高速域までパワフルな走りとともに、加速時の静粛性もアップしているほか、同時に、駆動方式を前輪駆動から後輪駆動に変更しました。
さらに、燃料電池自動車としての性能を大幅に向上させるため水素の積載量を拡大し、従来型で650キロだった航続距離を約1.3倍延長することを目指すとしています。
ミライ コンセプトについて、チームエンジニア・田中義和氏は、次のように説明しています。
「エモーショナルで魅力的なデザインや、乗っているだけで笑顔になれるダイナミックで意のままの走り、ずっと走っていたくなるようなクルマを目指してミライ コンセプトを開発しました。
燃料電池自動車だからミライを選ぶのではなく、こんなクルマが欲しかったと思ってもらえるように仕上げています。水素エネルギー社会の実現をミライがけん引していければと思います」
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世界の自動車メーカーは、電気自動車を中心とした電動化を進めるなかで、トヨタは電気自動車に加えて、ミライのような燃料電池自動車の開発をおこなっています。
日本は燃料電池自動車に対するインフラ設備が進んでいることもあり、2020年にメルセデス・ベンツは「GLC F-CELL」を販売開始、ヒュンダイも「ネッソ」を近々日本市場に投入するといわれています。
そんななかで、水素エネルギー社会をリードする象徴として、2020年末に登場する次期型ミライがどのような進化を遂げるのか注目したいところです。
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