日産 新型フェアレディZのデザインルーツとなった「S30型」とは
新型のプロトタイプが発表されたばかりの日産「フェアレディZ」だが、日本だけでなく北米でも新型フェアレディZの話題で盛り上がっているようだ。その理由は、もともと北米市場に向けたS30型フェアレディZの人気が高いからである。そこで、S30型フェアレディZについて簡単にその歴史を振り返ってみよう。
北米で人気を博したフェアレディZとは?
新型の登場が予告されている日産「フェアレディZ」。先日、そのプロトタイプがお披露目されたが、そのデザインモチーフとなっているのが、S30型フェアレディZである。
●1972 ダットサン「240Z」
もともとフェアレディZというクルマは、オープン2シーターとして登場したSR/SP311型「ダットサン・フェアレディ」の後継車として開発されたものだ。
発売されたのは1969年秋で、1978年まで販売されていた。ボディタイプは2シーターと、俗にいうワンマイルシートが装備された、2by2の2種類。
搭載されていたエンジンは、2.0リッター直列6気筒のL20型を中心に、吸排気のバルブそれぞれにカムを装備した、2.0リッター直列6気筒DOHCのS20型や、L20型の排気量を上げ、トルクを増した2.4リッターのL24型、2.6リッターのL26型、燃料供給をそれまでのキャブレターから電子制御式の燃料噴射装置へと変更した2.8リッターのL28型となっているが、このうちL26型とL28型は輸出仕様車専用品である。
L24型も当初、輸出仕様車専用であったが、のちに日本国内でも「フェアレディ240Z」として発売された。
このS30型フェアレディZは、国内はもとより、北米での人気が非常に高いクルマである。
もともと、北米日産の社長であった片山豊氏が、北米での日産車のブランドであるダットサンの認知度を高めるための、イメージリーダーとして企画したのが、このS30型フェアレディZである。
L24型エンジンを搭載したのも、広大な北米大陸を走行するときの余裕を見込んでのことであり、前後ストラット式の4輪独立懸架サスペンションがもたらすロードホールディング性の高さや、鋳鉄製シリンダーブロックを持つL24型エンジンの頑丈さなども含めて、ジャガー「Eタイプ」やポルシェ「911」に劣らない、あるいはそれらを超える人気を博した。
もちろん、国内でもこのS30型フェアレディZは高く評価されていた。
日産には、当時1968年に発売されたC10型「スカイライン」、いわゆる箱スカがあり、1969年2月にはその箱スカにS20型エンジンを搭載した「スカイラインGT−R」が追加されている。
そこに登場したのが、このS30型フェアレディZである。フェアレディZには当初から、S20型エンジンを搭載し、レギュラーモデルの4速MTから5速MTへと変更された「フェアレディZ432」もラインアップされていた。
つまり、ボディの形状は違えど、スポーツカーをほぼ同時に、2車種発売していたのだ。
そこには、合併した旧プリンス自動車系のスカイラインと、日産系のフェアレディZという、ルーツの違いが影響を与えているのかもしれない。
それはともかく、このS30型フェアレディZの北米での人気は、ダットサン、現地でいうところのダッツンのネームバリューを多いに高めることとなった。フェアレディZはそのネーミングから、ダッツン・ヅィーカーと呼ばれ、21世紀となった現在でも、その人気は高い。
ジャガーEタイプのパクリが、Fタイプを周回遅れでパクってもなぁ。