トラックの荷台に人を乗せると違反!? 自衛隊トラックがOKな訳とは
自衛隊のトラックの荷台に隊員が乗っているのはなぜ?
自衛隊のトラックに大勢の隊員が乗り込んでいる場面をニュースなどで見ることがありますが、問題ないのでしょうか。
違法にならない理由は、「自衛隊法」という自衛隊に関しての特例法があるからです。
自衛隊法第114条に「道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)の規定は、自衛隊の使用する自動車のうち、政令で定めるものについては、適用しない」と明記されています。
自衛隊長官である防衛大臣が定めた保安基準や整備・検査をクリアしていれば、普通のクルマと違う構造であっても良いということになります。
そのため自衛隊の場合、災害時や有事に対して迅速に人員を派遣する場合を想定し、荷台にシートを設置して多人数乗車できるようにしたトラックがあるのです。
この特例は、みな個々の特例法がありますが、消防車や警察車両などにも適用されます。
しかし、自衛隊のトラックで隊員が移動するということは、苦肉の策ともいえるものなのです。
たとえば2016年の熊本地震での復興支援では、全国から自衛官がトラックで被災地へ移動しました。途中までは電車なり飛行機なりで移動したほうが負担も少なくて済みそうですが、頑なにトラックでの移動となっていました。
これは国家の年間予算に関連しており、いつ起きるかわからない災害派遣予算の計上を財務省が認めないからだといわれています。
結果として自衛隊自らが「訓練」という名目で遠征費用をまかなっているため、ほかの移動手段にお金が使えないということです。
現在、自衛隊で使用されている隊員移動用の車両は、三菱「パジェロ」をベースに開発された「1/2tトラック(旧73型小型トラック)」、荷台に座席を設けて20名程度が可能な「3 1/2tトラック(旧73式大型トラック)」、トヨタ「メガクルーザー」をベースとした10名乗車可能の「高機動車」などがあります。
なお、自衛隊で使用している車両には、私たちが乗っているクルマのような車検がありません。
その代わりに「自衛隊の使用する自動車に関する訓令」という法令で管理されており、自衛隊独自で保安基準や点検項目や整備項目を設けています。
また一般車では加入が義務になっている「自賠責保険」も、自衛隊は適用外。この自賠責保険は事故などで被害を受けたすべての人が最低限の補償を受けられるようにする保険です。
その一方、自衛隊の場合は個人(や団体)で補償するのではなく国が補償するため、万が一の事故などでは「国家賠償法」が適用されることになります。
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