【試乗】アストンマーティン「DBX」は「ウルス」「ベンテイガ」よりハンドリングマシンだ!
アストンマーティン初となるSUV「DBX」がついに日本上陸。コンペティターと目されている「ウルス」と「ベンテイガ」に比べて、DBXの強みとは何かを、モータージャーナリスト山崎元裕氏が考察する。
満を持して登場した「DBX」は、どこまでライバルに迫れるのか!
アストンマーティンが英国ウエールズのセント・アサンの地に設立した新工場から、そのファーストモデルとなる「DBX」がデリバリーされ、ついに日本に上陸を果たした。
1世紀を超えるアストンマーティンの歴史のなかでも、初のSUVとなるDBX。もはや伝統のスポーツカー、あるいはプレミアムカー・ブランドが、SUV市場に進出を果たすことに違和感を抱くことはなくなった。
しかし、アストンマーティンを新たな領域へと導く「セカンド・センチュリー・プラン」と呼ばれる新たなプランにとって非常に重要な役割を果たすことを考えれば、DBXが市場で認められるか否かは、大いに興味深い。
DBXは、すでに触れたようにセント・アサンの新工場で生産される最初のモデルとなるが、同時にそれはこれまでの技術的な経験を駆使して、完全に新設計されたモデルでもある。
今回はこのDBXとともに、お互いに強力なライバルとなり得るだろう2台のモデル、ベントレー「ベンテイガ」、そしてランボルギーニがSSUV(スーパースポーツ・SUV)と名乗る「ウルス」を比較してみることにした。そこには3車3様の個性が必ずやあるだろう。
すでにショーの会場などでそのデザインは確認していたDBXだが、ストリートに導かれたDBXにはやはり独特の存在感がある。それは現代のアストンマーティンが持つエレガントとスポーティの共存だろうか。
●独特の世界観を持つDBXのデザイン
サイズは全長5039mm×全幅1998mm×全高1680mmという堂々としたもので、滑らかな、そして美しい曲面を多用したデザインが、ベンテイガやウルスにはない独特の世界を演出しているのが分かる。
見逃してはならないのはSUVとしての機能性である。キャビンはアストンマーティンとしては初のフルサイズの5人乗りで、リアシートは40:20:40の分割可倒式。その背後には632リッターもの容量が確保されたラゲッジルームが備わるのだから、ボディサイズに対する機能性、実用性は十分に確保されているといえる。
この点でやや大きな差をつけられているのはベンテイガであろう。同じ2列5人乗り仕様でラゲッジルームは484リッター。意外に感じられたのはウルスで、こちらは5人乗り仕様ならば616リッターを確保。実用性はDBX並みに高いのだ。
そのようなSUVとしての機能性を含めて、DBXのエクステリアデザインをもう一度確認する。
以前屋内で見た時には、もっと滑らかで控えめなデザインだと感じたDBXの外観だが、実際にはほかのアストンマーティンと同様に、スポーティな印象は非常に強い。アストンマーティンの象徴ともいえるグリルや個性的なテールセクション、そしてフットワークの力強さを視覚的に印象づけるサイドのプレスライン等々、そのバランス感やラインの流れには一切の破綻がない。
このDBXのエクステリアデザインに対してもっとも対照的なのは、ウルスのスタイルだろう。第一印象から、SSUVという言葉の意味を想像させる個性的でかつ前衛的なスタイルは、いわば速さや力強さをそのままカタチにしたかのようなフィニッシュだ。
六角形やY字型など、こちらも現代のランボルギーニが積極的に使用するデザインモチーフで、一族のメンバーであることを主張する。
マイナーチェンジを受けたばかりのベンテイガのエクステリアも、より魅力的になった。メッシュグリルの大型化、82個のLEDライトからなるマトリクスヘッドランプ。さらに細かくボディを検証すれば、前後フェンダーやバンパー、ボンネットなども新デザインであることが理解できる。
ちなみにリアフェンダーのワイド化は、トレッドが20mm拡大されたことが直接の理由だ。
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