【試乗】アストンマーティン「DBX」は「ウルス」「ベンテイガ」よりハンドリングマシンだ!
DBXが、コーナリング性能ではリードする!?
さっそくDBXのステアリングを握る。スタート&ストップスイッチは、センターコンソールの最上部に位置している。
センターコンソール最上部の中央にあるDボタンをプッシュし、アクセルペダルを踏み込むと、550psの最高出力と700Nmの最大トルクを発揮する4リッターのV型8気筒エンジンは、ターボラグなど一切感じさせることなく、滑らかにDBXを加速し始めた。
最初にきちんとコックピットドリルを受ければよかったのだろうが、試乗を始めてまず驚かされたのが、ステアリングホイールのスイッチ類、とりわけアダプティブ・ドライブ・モードのスイッチが、ステアリングホイールから移動していたことだった。
ステアリングホイールになければセンターコンソールというのは半ば常識だが、そのスイッチは小さく残念ながら操作性には優れてはいない。ウルスのタンブーロ、ベントレーのドライビングモードセレクターのような大きさと扱いやすさがなければ、走行中にモードを変化させることは操作に慣れない限りは事実上不可能だ。
●ハンドリングマシンと呼びたくなるDBX
とはいえ走りの方は実に素晴らしいフィーリングに終始している。簡単に表現するのならば「GT」モードならば、「DB11」のような高性能GTのような快適な走りが、あるいは「スポーツ」モードを選択すれば、「DBSスーパーレッジェーラ」のようなスーパースポーツ級のダイナミックな走りを楽しむことができる。
もっとも魅力的なのは、ステアリングに代表されるシャシの仕上がりだ。どのような速度域でもドライバーの意思に忠実な、というよりもその意思そのものの動きが結果としてDBXの挙動となって表れる。
これと比較すると、ベンテイガもウルスも、やはりわずかにコーナリングで修正を必要とするような場面に出くわすことが皆無なわけではない。DBXのコーナリングはともかく見事だ。
3チャンバー式のエアサスペンション、48V電源による電子制御スタビライザーなどによる効果も、確かに大きい。今回は残るドライブモード、トラクションコントロールさえカットされる「スポーツ・プラス」や、「テレイン」、「テレイン・プラス」と2段階が用意されるオフロードのモードを試すことはなかったが、こちらもドライバーの意思どおりに、スポーティで、また安定した走りを演出してくれるのだろう。
550psのDBXに対して、ベンテイガは同じく550ps、ウルスは650ps。運動性能は圧倒的にSUVVたるウルスが高いが、DBXとて0-100km/h加速を4.5秒でこなし、最高速では291km/hを実現する。
これに9速ATを組み合わせ、EU複合モードでは6.98km/L、CO2排出量では269g/kmを目標値としているというのだから、環境性能的にもまずは十分評価できる数字が達成されるはずだ。
アストンマーティンDBX。それはプレミアムSUVの世界に誕生した、きわめて高い商品力を持つニューモデルだった。
●Aston Martin DBX
アストンマーティンDBX
・車両価格(消費税込):2299万5000万円
・全長:5039mm
・全幅:2050mm
・全高:1680mm
・ホイールベース:3060mm
・車両重量:2245kg
・エンジン形式:V型8気筒DOHCツインターボ
・排気量:3982cc
・エンジン配置:フロント縦置き
・駆動方式:4輪駆動
・変速機:9速AT
・最高出力:550ps/6500rpm
・最大トルク:700Nm/2200-5000rpm
・0-100km/h:4.5秒
・最高速度:291km/h
・公称燃費(WLTC):6.98km/L
・ラゲッジ容量:632リッター
・燃料タンク容量:85リッター
・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)Φ410mmベンチレーテッド・ディスク、(後)Φ390mmベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)285/40YR22、(後)325/35YR22
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