汚れたエンジンオイルはエンジン破損の原因に!? オイル交換の目安はどれくらい?
クルマのエンジンを動かすうえで重要な役割を果たすエンジンオイルですが、汚れたままにしておくと、エンジンが破損する恐れがあります。オイル交換は、どれくらいを目処におこなったらよいのでしょうか。
エンジンオイルは潤滑・洗浄・冷却を担う重要な消耗品
クルマのエンジンは、金属のパーツが複雑な形状で絡み合って稼働しており、金属の磨耗を抑えるために、エンジンオイルが重要な役割を果たしています。

エンジンオイルは、金属パーツ同士がスムーズに動くための「潤滑」、また燃料の燃焼で出てくるカーボンのカスや不純物をパーツに付着させない「洗浄」、エンジン内部を循環することでエンジン熱を放出する「冷却」といったさまざまな役割を担っています。
潤滑・洗浄・冷却以外にも、エンジン内部をサビから守る「防錆」、ピストンとシリンダーの隙間を埋める「密閉」の効果もあります。
エンジンオイルの交換は、「半年ごと」や「1万kmごと」などといわれていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
都内の某販売店のメカニックであるK氏は次のようにいいます。
「エンジンオイルは、クルマの心臓部であるエンジンを動かす上で必要な血液のような存在です。劣化してドロドロになってしまうと潤滑がスムーズにいかず、エンジンの燃焼効果も下がり、焼きつきなどでエンジンを破損してしまう恐れもあります。
エンジンオイルには添加剤が含まれていて、そのなかにはオイル自体の耐久性を向上させる成分も含まれており、以前のオイルよりも交換時期が長くなる傾向にあります。
しかし、さほど距離を走っていないからといって交換を先延ばしにすると、エンジンが十分な性能を発揮できなくなるので、使用状況にもよりますが、1万kmに1回か、長距離を走っていなかったとしても年に1回は点検・交換をお勧めします。
オイル漏れでエンジンが破損してしまうと数十万円もの修理代がかかるケースもありますので、定期的にオイル交換をすればトラブルを未然に防ぐことができます」(K氏)
また古いクルマのエンジンには、各部のつなぎや漏れ防止に、ゴム製のパッキンが多用されています。ゴム製なので経年劣化だけでなく高熱による変形などもあって定期的な交換が必要になります。
一方で設計の新しいエンジンは本体パーツが一体成型されているものが増え、ゴム製品の代わりに液体ガスケットを採用しているクルマが増えています。
また、クランクシャフトやカムシャフトなど、回転しているパーツにはリング状のオイルシールというパーツが使われ、オイル漏れやエンジン内への異物の侵入を防止しています。
このオイルシールも、オイルの劣化が激しいと寿命が短くなることもあるので、注意が必要です。
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密閉されているはずのエンジンオイルですが、なかに不純物が混じるのはなぜでしょうか。
「エンジンオイルの汚れ具合は、使用状況によって大きく変わってきます。完全にエンジンが暖まる前にエンジンを止めると、不完全燃焼で燃え残った燃料とオイルが結合したり、燃焼室内のオイルの燃えカスが発生します。これがスラッジと呼ばれる不純物となりオイル内に浮遊するわけです。これは使用期間が長いほど溜まっていきます」(K氏)
また、渋滞などで十分な風が取り込めなかった場合は、油温が上昇しオイルの潤滑性が一気に低下。そういった要因が重なり、指定距離に達していなくてもエンジンオイルが汚れたり劣化してしまうことがあるのだそうです。
「そのまま放置しているとオイルが油膜を保持できなくなり、エンジンのパーツ同士が上手に潤滑されず、これが原因でピストンやシリンダーを痛めてしまったり、最悪は焼き付きを起こしてエンジンブローしてしまう可能性もあるのです」(K氏)













