設立から50年! 業界初のホンダ「安全運転普及本部」は法改正にも寄与 活動の歴史とは
人々に安全な移動の自由を 28年前にホンダが残した業績とは
本田技研工業株式会社 専務執行役員 安全運転普及本部 本部長を務める竹内弘平氏は、「ホンダが追求したい安全は、移動の歓びを広げることに繋がる安全です」と話します。
この理念のもと、安全を確保しつつさまざまな人の移動を可能とするために働きかけ、優れた実績を残しています。
前出の鈴木氏は、身体障がい者向け自動車運転システムをめぐる経緯について次のように説明します。
「ホンダは、1981年に日本で『Hondaフランツシステム』を搭載したクルマを開発しました。このシステムは、自らも両上肢に障がいを持つエーベルハルト・フランツ氏が開発した、足でステアリングなどを操作・補助するシステムです。
日本で両上肢に障がいを持つ人の運転を実現するために、ホンダはフランツ氏から直接技術指導を受けて開発しました。
そして安全運転普及本部は、行政諸官庁との渉外活動を通じて、1982年の道路交通法改正の実現に寄与し、日本で両上肢に障がいを持つ人の運転免許取得の歴史が開かれたのです」
人々の移動を制限するのではなく、安全性を明らかにしたうえで移動の自由を広げる活動を、ホンダ一丸となりおこなってきたということです。
一方、人々の安全装備に対する「過信」を防止する教育活動も、安全運転普及本部はおこなっています。
前出の「アドバンスドセーフティコーディネーターは、自社の予防安全システム「ホンダセンシング」搭載車の増加にあわせて設立された制度で、衝突被害軽減ブレーキをはじめとした先進予防装備に対するユーザーへの正しい理解を推進しているほか、広告での機能説明文についても、広告宣伝を担当する部署と連携して、注意を払っていると説明します。
また、ほかの自動車メーカーとの連携も日本自動車工業会を通じておこない、業界全体として交通安全普及を推進中です。
発足から50年の節目を迎えた安全運転普及本部は、今後は一人ひとりに最適化された「アダプティブラーニング」や、ヘッドマウントディスプレイを用いてVRを活用した「疑似体験学習」など、新たな手法を取り入れることでユーザーへの教育機会を増やすことを検討しているとしています。
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