日本の名車が海外で生き残っていた!? 栄光の車名を継承した車5選

かつて、隆盛を誇った名車と呼ばれるクルマでも、ニーズが無くなってしまえば消える運命にあります。そうして数多くのクルマが生産を終えてしまいましたが、その車名を引き継いだクルマが海外で生き残っていました。そこで、国産名車の名を引き継いだ海外専用モデルを5車種ピックアップして紹介します。

往年の車名が海外で使われている!?

 日本の本格的な自動車製造は大正時代に始まり、すでに100年以上の歴史があります。その長い歴史のなかでは、数多くの名車が誕生し、大ヒットを記録したり、記憶に残るクルマが存在。

往年の名車の名を冠した海外専用モデルたち
往年の名車の名を冠した海外専用モデルたち

 しかし、どんな名車でもニーズがなければ消える運命にあり、かつて隆盛を誇ったクルマでも生産を終えたケースはいくつもあります。

 ところが、かつて日本で販売された名車の名が、海外で生き残っていました。そこで、往年の車名を引き継いだ海外専用車を5車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「スターレット」

スズキ「バレーノ」のOEM車として復活した「スターレット」
スズキ「バレーノ」のOEM車として復活した「スターレット」

 トヨタを代表する大衆車の初代「カローラ」が発売される以前、そのポジションを担っていたのが1961年に発売された「パブリカ」です。

 1973年には、パブリカの上級モデルとして、2ドアクーペ/4ドアセダンの「パブリカ・スターレット」が登場。そして、1978年モデルチェンジで、2BOXのハッチバックスタイルとなったFR車の2代目「スターレット」が発売されました。

 さらに、1984年にはすべてが一新されたFFの3代目がデビューし、軽量な車体に高性能なSOHCエンジンを搭載したグレードも設定され、スポーティなエントリーモデルとして人気となります。

 そして、1996年に5代目が発売され、1999年に後継車の初代「ヴィッツ」の誕生により、スターレットの歴史に幕を閉じました。

 ところが、2020年9月1日に、トヨタは豊田通商を通じて、新型スターレットをアフリカの47か国で順次発売すると発表。

 新型スターレットは、インドのマルチスズキで生産され日本でも2020年6月頃まで販売されていた、スズキのコンパクトカー「バレーノ」のOEM車です。

 南アフリカ仕様ではボディサイズが全長3995mm×全幅1745mm×全高1470mmで、トヨタのエンブレムが装着されるフロントグリルは、スターレット専用の意匠を採用。

 搭載されるエンジンは1.4リッターガソリンで、最高出力92馬力、最大トルク130Nmを発揮し、組み合わされるトランスミッションは4速ATと5速MTとなります。

 内装はバレーノに準じており、シンプルながらもパワーウインドウやディスプレイオーディオが設定されるなど、装備は充実しています。

 価格は日本円で126万円からとなっており、スターレットがアフリカの地で再びエントリーカーとして復活を果たしました。

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●三菱「グランドランサー」

台湾で生き残った三菱で最後のセダン「グランドランサー」
台湾で生き残った三菱で最後のセダン「グランドランサー」

 1973年に発売された三菱初代「ランサー」はラリーなどで活躍し、三菱の小型スポーツセダンとしてのポジションを確立。

 その後代を重ね、1992年に4WDスポーツセダン「ランサーエボリューション」が登場すると、世界ラリー選手権での活躍から人気が再燃し、ライバルのスバル「インプレッサWRX」とともに進化を続けました。

 しかし、2016年に「ランサーエボリューション ファイナルエディション」の発売をもって、販売を終了。三菱の国内ラインナップからセダンが姿を消し、歴史のあるランサーの系譜も途絶えたかに思えました。

 ところが、ランサーの名はオーストラリアや台湾で生き残り、現在は台湾で4ドアセダンの「グランドランサー」として販売されています。

 現行モデルのグランドランサーは2017年に登場し、エンジンは全グレードとも140馬力の1.8リッター直列4気筒を搭載。

 基本的なコンポーネンツは国内モデルの「ギャランフォルティス」と共通で、フロントフェイスは三菱のデザインコンセプト「ダイナミックシールド」が採用されるなど、もはやギャランフォルティスの面影はありません。

 全体のフォルムもスポーティかつスタイリッシュな印象で、トップグレードにはリアウイングやスポーツサスペンションを装備するなど、ランサーの名を継承するにふさわしいスポーティな一面もあります。

 ちなみに、台湾の三菱では、2012年に生産を終了したコンパクトカー「コルトプラス」も、独自の進化を続けて販売されています。

●ホンダ「シティ」

アジア圏を中心に人気を博している4ドアセダンの「シティ」
アジア圏を中心に人気を博している4ドアセダンの「シティ」

 ホンダは1981年に、初代「シビック」と同クラスのエントリーカーとして初代「シティ」を発売。現在の軽自動車よりも短い車体に背の高いキャビンを採用した、斬新な発想のコンパクトカーとして大ヒットしました。

 1986年にはコンセプトを一新して全高が低いコンパクトカーとなった2代目シティが発売されますが、1994年には生産を終了し、後継車の「ロゴ」にバトンタッチしたことで、シティの系譜は途絶えてしまいます。

 しかし1996年にアジア圏などの新興国向けセダンとして、当時の「シビックフェエリオ」をベースにした新世代のエントリーカーのシティを発売。

 その後、フィットをベースした4ドアセダンとなった新生シティは代を重ね、現行モデルは海外仕様としては5代目にあたり、2019年11月にタイを皮切りに発売されました。

 エンジンは国内ではラインナップされていない1リッター直列3気筒ターボを搭載。また、海外向けシティとして初のスポーティグレードである「RS」が設定されました。

 現在はタイだけでなく、中国やメキシコ、インドなどで販売されており、グローバルなエントリーカーとして活躍しています。

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