世界で最も醜いクルマ!? 時代の先を行き過ぎた「ざんねんなイタフラ車」3選
プジョーの「00」を持つ4ケタ数字のモデルはここからはじまった
●プジョー「1007」(PEUGEOT 1007)

プジョー「1007」は、2002年にパリモーターショーでデビュー。2004年より生産開始された、両側スライドドアを持つBセグメントのコンパクトカーだ。日本でも2006年から発売されている。
変わっているのは、MPVではなく、4人乗りの3ドア・ハッチバックであることだ。
つまり、左右2枚のドアが電動スライドドアで、後ろにハッチゲートが付いている。全長は3.8mほどで、コンパクトカーといっていいサイズ感だ。
日本にも、ポルテというスライドドアを備えるコンパクトカーが存在しているが、ポルテの場合は、助手席側だけがスライドドアで、運転席側は普通のドアであった。
もちろん、両側がスライドドアである1007は、後席のアクセスは抜群に良かった。しかし、運転席に乗り込むのに、いちいちスライドドアを開け閉めするのは、正直、面倒くさい。やはりというか、当然のようにセールスは不調に終わっている。
1007は、プジョーではじめて4ケタ数字の車名を持つモデルだった。コンパクトクラスに、かつてない価値を提供するという崇高な思想に基づいて登場したが、結果としては失敗に終わった。だが真ん中に00が付く4ケタ数字の車名は、後に「2008」「3008」「5008」と、SUVに命名。プジョーのラインナップ拡充に寄与している。
●ルノー「アヴァンタイム」(RENAULT AVANTIME)

最後に紹介するのはルノーの「アヴァンタイム」だ。
1999年のジュネーブショーでプロトタイプが発表され、2001年より生産を開始。日本では2002年より発売されている。
このモデルの特徴は、全長4.6mを超えるミニバンのように見えつつも、その実、3ドアのクーペであったことだ。そのためドアは長大で、狭い駐車場では乗り降りに苦労した。
FFのプラットフォームに3リッターのV型6気筒エンジンを搭載。意外と走りも良かったという。しかし、日本での販売価格は500万円。つまり高級車としての販売であったのだ。
室内は高級な本革をたっぷりと使用したゴージャスなシートや、広いグラスエリアに加え巨大なサンルーフも装備、開放感に満ちた、いままでにないコンセプトのモデルだった。
もちろん、そんなに攻めすぎた高級車を買う人は稀有。日本だけでなく世界でも販売は不調で、デビューからわずか2年後の2003年には生産終了になったという。
攻めに攻めたデザインだったが、やりすぎてしまい短命に終わり、歴史に名を遺すクルマとなっている。
Writer: 鈴木ケンイチ
1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。
































