技術の日産が本気出したらスゴいことに!? 8代目「U12型 ブルーバード」を振り返る
日産「ブルーバード」といえば、かつて日産を代表する中型セダンで、過去に日本のみならずアメリカでもヒットを記録しています。2001年に10代目をもって生産を終えていますが、歴代モデルのなかでも8代目は大きなターニングポイントになったモデルです。そこで、U12型ブルーバードを振り返ります。
一気に高性能化にシフトしたブルーバードとは
日産の自動車製造は100年以上もの歴史がありますが、第二次大戦後に自動車製造を再開した同社は、イギリスのメーカーであるオースチン車のノックダウン生産から開始しました。
そして、ノックダウン生産で学んだ技術を生かして1955年に自社開発の「110型 ダットサン乗用車」を発売し、1957年には110型の後継車である「210型 ダットサン 1000セダン」が登場。
しかし、どちらのモデルもデザインやメカニズムは前時代的でした。
そこで、1959年に初代「310型 ダットサンブルーバード」が発売されると、デザインやメカニズムは一気にモダンに変貌。
その後ブルーバードは代を重ね、1967年に発売された「510型 ダットサンブルーバード」は日本のみならずアメリカでもヒットを記録し、日産の世界進出の足がかりとなります。
こうしてブルーバードは日産の主力車種の1台となり、大ヒットした6代目の「910型 ブルーバード」が最後のFR駆動で、7代目ではFF化することで時代の変化に対応しました。
そして、1987年に登場した8代目の「U12型 ブルーバード」は、それまでのコンセプトを大きく変えた、ターニングポイントとなったモデルです。
このU12型 ブルーバードについて、振り返ります。
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U12型 ブルーバードは先代のU11に続いてFFを基本として開発されました。発売当初は4ドアセダンと4ドアハードトップで、先代まであったステーションワゴンやバンは廃止。
ボディサイズは全長4520mm×全幅1690mm×全高1390mmと、同年代の「スカイライン」よりもややコンパクトです。
搭載されたエンジンは全グレードとも直列4気筒で、排気量は1.6リッター、1.8リッター、1.8リッターターボ、そして2リッターディーゼルをラインナップし、トランスミッションは3速AT、4速AT、5速MTが設定されています。
外観は先代が910型からのキープコンセプトで直線基調だったのに対し、U12型ではボンネットのラインをわずかに傾斜させ、全体的に角を丸くすることで、オーソドックスなセダンのフォルムながらもスマートな印象に変貌。
内装のデザインも、外観と同様に直線基調だった先代にくらべ、やわらかくラウンドしたメータークラスターやダッシュボードを採用したことで、一気に世代が変わったことをアピールしています。
そして、U12型最大のトピックスはトップグレードの「SSSアテーサリミテッド」にありました。
SSSアテーサリミテッドに搭載されたエンジンは1.8リッターDOHCターボ「CA18DET型」で、最高出力は175馬力を発揮。
駆動方式はセンターデフにビスカスカップリングを組み合わせた、新開発のフルタイム4WDシステム「アテーサ」を採用。
アテーサは前後駆動トルク配分50:50を基本とし、前後輪で回転差が生じるとビスカスカップリングの作用でセンターデフの差動を制限して、駆動力を確保するというもので、左右輪でいうところのLSDと同様な仕組みです。
アテーサに加え、4輪操舵システム「HICAS」と「STC-Sus(スーパー・トー・コントロール・サスペンション)」の採用によって、高い旋回性能と安定した走りを実現しています。
こうして一気に高性能化したブルーバードは新たなステージへと向かいました。
U12は大好きで2台乗りました。初代は前期アテーサ、2台目は後期アテーサリミテッドでした。まずスタイルに惚れたのですが、アテーサの踏ん張り感は半端無かったです。欠点はHTボディの剛性の弱さ。タワーバーは必須でした。記事にHI-CASとSTC-SUS搭載とありましたが、U12にHI-CASは有りません。STC-SUSのみです。HI-CASは電子制御4WSですが、STC-SUSは慣性モーメントを利用した簡易4WSで4WD化による回頭性の悪化に対応した装備でした。