いま大人気のSUV、昔のモデルとは!? 初期のクロスオーバーSUV5選
新ジャンルを開拓したステーションワゴンとは!?
●スバル「レガシィ グランドワゴン」
1990年代になると、アメリカでは都市部でもライトトラックをベースにしたSUVの人気が高まりますが、当時のスバルにはベース車がありませんでした。
そこでスバルは1994年に、既存の「レガシィ」をベースに内外装にアウトドア向け装備を与えた初代「アウトバック」が誕生し、セダンとステーションワゴンをラインナップ。
日本では翌1995年に、「レガシィ ツーリングワゴン」をベースにした「レガシィ グランドワゴン」の名で発売されました。
日本で発売されたレガシィ グランドワゴンは、翌年の1996モデルイヤーとして車高が引き上げられるなどの改良が施されたアウトバックと基本的に共通で、前出のスプリンターカリブよりもSUVらしいモデルです。
エンジンは自然吸気の2.5リッター水平対向4気筒エンジンのみの設定(北米仕様は2.2リッターもあり)、トランスミッションは5速MTと4速ATを設定し、駆動方式はフルタイム4WDを採用。
アウトバックはアメリカで大ヒットし、スバルのブランドイメージを確立する立役者といえ、日本でも新ジャンルのステーションワゴンとしてヒットします。
その後もモデルチェンジを重ね、車名を「レガシィ ランカスター」→「レガシィ アウトバック」となり、国内向けの現行モデルは5代目で、北米では2019年に6代目が登場しています。
既存モデルのバリエーションとしてクロスオーバーSUVを作り上げたスバルの手法は、後にアウディの「オールロード クアトロ」シリーズや、ボルボの「クロスカントリー」シリーズの登場に大きな影響を与えました。
●ホンダ「Z」
ホンダはCR-Vの大ヒットを受け、さらなるラインナップ拡大をおこない、コンパクトSUVの「HR-V」を1998年に発売。
さらに、1998年10月に導入された軽自動車の新規格に合わせて開発されたホンダ「Z」が登場します。
自然吸気またはターボの660cc直列3気筒エンジンを後部座席の下に横倒しで縦置に設置するユニークなレイアウトを採用し、4速ATのトランスミッションとビスカスカップリング式センターデフを組み合わせた4WDが採用されました。
この駆動系のレイアウトは、ホンダの軽トラック「アクティ」をベースにしたものですが、荷台の広さが重視される軽トラック設計の利点をそのまま乗用車に生かし、Zでは広い室内空間を実現。
また、駆動用の機械類がすべてホイールベース内に収まるため、大径の15インチタイヤをボディの四隅ぎりぎりに配置することができ、さらに195mmもの最低地上高を確保することで、悪路走破性も高められました。
しかし、3ドアのボディでは広い室内にも関わらず乗降性に不便な印象は避けられず、凝った設計によって車重も960kgから970kgと、同時期に販売されていた軽乗用車「ライフ」の4WDより100kgほど重いなどが重なり、販売は低迷。
その後、モデルチェンジも後継モデルもなく、2002年に生産終了。4ドアで設計していれば、いまも後継車が生き残っていたかもしれません。
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本文中で出てくる「RVブーム」の頃は、現在のSUVとは比べ物にならないほどクロスカントリー4WD車が売れていました。
1990年代の初頭はスキーブームもあり、スキー場の駐車場ではクロカン車が数多く見られたほどです。
しかし、クロカン車は文字どおり悪路走行に特化して開発されたモデルですから、乗り心地や燃費が悪く、うるさい、高速走行に向いていないなど我慢が強いられました。
そのため、乗り換える人も多く、ブームは沈静化します。2019年8月にRVブームをけん引した三菱「パジェロ」が国内販売を終えましたが、まさにひとつの時代が終わった証ではないでしょうか。
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