日産「シルビア」は異端児!? デートからドリフトまで幅広く支持される理由とは

もはや日本人だけじゃない…世界中で人気のシルビアのいま

 今後シルビアは、さらに希少価値が高いクルマとなっていくと予想されています。その理由は、「パーツ不足」と「25年ルール」の影響によるものです。

 まず、パーツ不足について、前出の中古車販売店スタッフは以下のように話します。

「純正パーツは廃盤になっているものも多く、手に入れるのは難しいでしょう。インターネットオークションなどでも時々見かけますが、シルビアなどの人気車種のものはかなり高値で取引されています」

 たしかに、オークションサイトをみると、シルビアの純正パーツの出品数は限られているうえに、出品されていればほぼ高値が付いている状態です。

 例えば、純正ヘッドライトは6万から7万円ほどで取引されています。これは、同時期にデートカーとして人気だったプレリュードの同パーツ相場の2倍から3倍ほどの価格となっています。

 また、前出の中古車販売店スタッフは、「海外のバイヤーは、中古パーツにも常に目を光らせている」と話しており、国内外で争奪戦となっていることがうかがえます。

S15型シルビアのターボ搭載車であるスペックR。100%純正状態を維持している個体は希少かつ価格も高くなります。少なくともホイールが変更されていたり、吸排気系などのライトチューンが施されているそうです。
S15型シルビアのターボ搭載車であるスペックR。100%純正状態を維持している個体は希少かつ価格も高くなります。少なくともホイールが変更されていたり、吸排気系などのライトチューンが施されているそうです。

 加えて、アメリカに限っては「25年ルール」という輸入規制も存在します。

 25年ルールとは、生産から25年以上経過しているクルマについて、「米国NHTSA(米・高速道路交通安全局)」がヴィンテージ品としての価値を認めて、並行輸入車に対する試験を免除するという規則です。

 クルマの通行区分が右側通行の米国を含む北米では、右ハンドル車の走行は危険だということで、輸入は認められていません。

 しかし、北米で一般ユーザーが乗れないはずの右ハンドル車が、25年ルールによる緩和措置で輸入され、1980年から1990年代に登録された日本の高性能スポーツカーを中心に、流通が増えているのです。

 そのため、S13型とS14型は25年ルールによって続々と海外に流れており、S15型も2024年には25年を迎えます。

 米国での日本車人気は根強く、「JDM(Japanese Domestic Market)」と称される日本国内仕様などを好む独自の文化や市場が急速に伸びています。

 また、カナダでは米国の25年ルールよりも短い「15年ルール」となっており、すでにシルビアを始めとした国産スポーツカーが出回っています。

 さらに、北米以外でも東南アジアやロシアではかねてから日本発祥のドリフト競技が盛んとなっており、すでに多くの車体やパーツが流出しているのです。

※ ※ ※

 かつてはデートカーとして日本の街を颯爽と駆けたシルビアですが、現在では北米やアジア、ロシアなど世界中で争奪戦となっているのです。

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