「タイヤに窒素ガス」を入れるサービスにメリットはある? その始まりとは
10年以上前に流行した「タイヤに窒素ガスを充てん」するサービス。いまでもタイヤ販売店やガソリンスタンドなどでおこなわれているが、タイヤに普通の空気ではなく、窒素ガスを入れるメリットはあるのだろうか。
「タイヤへの窒素ガス充てん」は飛行機からはじまった
愛車のタイヤへ空気を入れる代わりに、窒素ガスを入れるサービスがある。
一部のカー用品店では、タイヤを購入すると無料でおこなったり、有料で窒素を充てんするタイヤ販売店やガソリンスタンドもあり、目にすることも少なくないだろう。
そんなタイヤへの窒素ガス充てんには、どんなメリットがあるのだろうか。
タイヤに窒素ガスが最初に充てんされはじめたのは、じつは自動車用のタイヤではないようだ。
それは飛行機だ。国内大手の航空会社である日本航空株式会社に話を聞いた。
「航空機のタイヤは、過酷な用途で使われます。着陸時には路面との摩擦で、かなり高温になります。そして機体重量も数百トンあることで、タイヤへの負担は相当なものになります。もし不測の事態が起きた場合、酸素が含まれない窒素ガスを充てんしたほうが、火災等が起こる可能性を最小限にすることができます」(同社広報)
そしてもうひとつ、特殊な環境であることも窒素ガスを充てんする理由だという。
「航空機の主流となるジェットエンジンを搭載した機種は、高いところだと高度1万mまで上昇します。その際、外気温はマイナス60度という、極低温の環境におかれます。
そういった環境下では、水は凍結してしまうため、もしタイヤに空気を充てんしていた場合、空気に含まれていた水分がタイヤ内に影響を及ぼし、タイヤ空気圧が急激に低下します。高度を徐々に下げて着陸するまでに、もしも空気圧が戻らなければ大変危険な状態になります。
一方で、タイヤへ空気を充てんしていた場合は、着陸時にも危険が生じます。先の話と重複しますが、空気中の水分は高温時には水蒸気となり、体積を膨張させるので空気圧が一気に高まる危険性があります。そういうこともあり、航空機のタイヤには窒素ガスを充てんしています」(同社広報)とコメントする。
つまり極端な外気温の変化に対応するために、飛行機のタイヤには窒素ガスの充てんが必須というわけだ。
いつからそうした取り組みが行なわれているのか、続けて聞いてみたが「残念ながら詳細は不明です。しかし相当以前から使用されていると聞いています」とのこと。
飛行機の歴史は長く、さらにジェットエンジンを搭載した飛行機が高高度を飛ぶようになって、かなりの年月を経ている。そうした歴史を考えると、タイヤに窒素ガスを充てんする取り組みは、相当以前からおこなわれているのではと推測できる。
いつも窒素を入れるタイヤ屋さんはこだわりがあって色々試し、ウガイと称して窒素を入れて抜いてを3回繰り返し、残留酸素濃度を0.3%以下にします。そこまですることで初めて劇的に効果が感じられます、と。確かに違うよ!