国内向け新型車開発なぜ減少? 海外のお下がりばかり販売される理由とは

日本向け開発でも海外で評価された日本車とは?

 そんななか、トヨタには珍しい例があります。それは現行モデルの「カローラ」です。

 基本設計は海外展開モデルと共用しつつ、日本専用として車体サイズを小さく(全長は海外モデルに対してセダンで135mm、ワゴンで155mmと大幅に短縮)するなど、日本向けに大きな変更を施しているのが特徴。

 日本のユーザーをきちんと考えているからにほかなりません。

海外でも評価されるトヨタ「アルファード」
海外でも評価されるトヨタ「アルファード」

 ところで昨今は、日本向け開発ながら海外に発信した意外なモデルもあります。

 大成功といえるのがトヨタ「アルファード」や「ヴェルファイア」。そもそも同車は日本向けの商品展開でしたが、まず先代が東南アジアなどに並行輸出されてスマッシュヒット。それを知ったトヨタが現行モデルから正規輸出すると、さらに人気が盛り上がりました。

 購入するのは富裕層ですが、なかには「お金はいくらでも払うからさらに上級モデルを」という声も多くあり、それがレクサスのミニバンである「LM」の登場につながったというわけです。

 また新型「ハリアー」も日本の消費者のニーズだけを反映させて作られたクルマですが、先代はおこなわれなかった北米展開をスタート。「ヴェンザ」という車名で販売されます。

 開発者は「日本発信のSUVが現地でどこまで受け入れられるかは読めない」といいますが、販売計画は日本(3000台/月)よりも多い5000台/月というから驚きます。

 さらに「北米以外の海外展開も計画中」とのこと。詳細はまだ明らかにできないようですが、先代の並行輸出モデルがそれなりに売れた東南アジアなどが対象になると思われます。アルファードやヴェルファイアと同じ流れになりそうです。

 また、意外なことに新型のホンダ「フィット」も日本発信の色が濃いモデル。

 開発者は「先代は海外市場からの声が濃く反映されたモデルで、日本最重視とはいえなかった。しかし新型は、日本のユーザーにベストと思ってもらえるように企画。それを『これが日本のコンパクトカーだ!』として世界に広めようと考えている」といいます。

 具体的には開放的なインテリアの雰囲気などに日本らしさを織り込んでいます。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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