日本の高級車が輝いていた頃の名車! 重厚感あふれるデザインのセダン5選
失敗を糧に保守的なデザインとなったモデルとは!?
●トヨタ「クラウン」
初代トヨタ「クラウン」は1955年に発売されました。当初は最高出力48馬力の1.5リッター直列4気筒OHVエンジンが搭載していましたが、マイナーチェンジで国産市販乗用車初のディーゼルエンジンや1.9リッターエンジンが追加され、1962年に登場した2代目では、後のクラウンの主力となる直列6気筒エンジン搭載車も追加されました。
その後、日本を代表する高級サルーンとなりましたが、4代目では曲面を多用した斬新で革新的なスタイリングとなり、保守的なユーザーから敬遠され、セドリック/グロリアに販売台数で負けてしまったことで失敗作と揶揄されてしまいます。
そこで、1974年にモデルチェンジされた5代目では、高級車然とした直線基調のデザインとなり、1976年に追加された4ドアハードトップの上級グレード「ロイヤルサルーン」には、2.6リッター直列6気筒OHCエンジンが搭載されるなど、高級車販売台数トップの座を奪還。
また、1978年のマイナーチェンジでは、フロントマスクやテール周りのデザインが変更され、オーバードライブ付き4速ATを追加することで、高速走行時の走りの質感と静粛性が向上します。
このマイナーチェンジ後の5代目クラウンは、フロントマスクがメルセデス・ベンツのようになり、後に「ベンクラ」の愛称で呼ばれました。
●マツダ「ルーチェレガート」
1966年に、マツダが「ファミリア」に続く普通車第2弾として発売した「ルーチェ」は、スタイリッシュなヨーロピアンテイストの外観デザインで、人とは違う個性的でオシャレなクルマを好む層に受け入れられました。
そして1977年に追加された3代目は「ルーチェレガート」と名付けられ、5ナンバー枠いっぱいのサイズのボディに、トップグレードは13B型ロータリーエンジンを搭載。
ボディバリエーションは4ドアピラードハードトップと4ドアセダンが設定され、後にバンが追加されます。
特徴的な縦配置の角型4灯ヘッドライトやメッキ加飾されたフロントグリルなどが、クラシカルなアメリカンセダンに似ていると評され、ロータリーエンジン搭載車は燃費も「アメ車並み」といわれたことから、販売の中心は2リッター4気筒SOHCエンジン搭載車でした。
1979年のマイナーチェンジで、フロントマスクがオーソドックスなデザインの角型2灯ヘッドライトに変えられ、個性的な印象は薄れてしまい、そのルックスから「広島ベンツ」と揶揄されたほどです。
ルーチェレガートは1981年に4代目ルーチェにバトンタッチして生産を終え、旧車好きからは、やはり個性的な前期型が好まれ、とくにロータリーエンジン車が人気で、希少なモデルでした。
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国内でマイカーが本格的に普及する前は「高級車=アメ車」というイメージが浸透。実際に当時の輸入車は法外な値段で、庶民には憧れの存在以外には成りえませんでした。
そのため、国産大型セダンのデザインはアメ車に寄せることが当たり前で、各社とも重厚なデザインを採用していましたが、5代目クラウンが商業的に成功したことで、日本の高級車は欧州車的なデザインへと移行していきました。
現在は、アメリカを代表する高級車メーカーのキャデラックもクーペセダンをラインナップするなど、欧州車に近いデザインになっているのは、時代の移り変わりでしょうか。
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